まだ見ぬカンボジアに出会う小旅行へ―現地発カルチャー&旅行情報誌「クロマーマガジン」

　2025年7月30日、カンボジア国立銀行（NBC）は、タイとの国境紛争の戦闘に参加した軍人や、避難を余儀なくされた民間人を対象とした債務救済措置を、国内のすべての銀行・金融機関に指示する通達を発令しました。この通達には、戦闘で亡くなった軍人の債務免除（免除上限8千万リエル≒約2万ドル）や、負傷した傷痍軍人の債務免除（免除上限1千万リエル≒約2,500ドル）といった具体的な措置が盛り込まれています。また、前線での任務に就く兵士や避難民のために、融資に関連する支払いの免除や延期が指示されました（戦地の兵士：2026年1月31日まで、避難民：2025年10月31日まで）。さらに、前線での任務に就く兵士やタイから帰国した労働者らへの追加の特別優遇措置の提供も奨励されています。

　この通達の発令後、カンボジア国内の複数の主要な銀行や金融機関は、独自に支援策を拡大する方針を発表しました。その多くは、国境紛争の戦闘で亡くなった軍人・負傷した軍人への完全な債務免除（100%免除）や追加の支援金の提供といった、政府や軍人への強い支援を表明する内容となっています。また現在、多くの銀行や金融機関が、被害を受けた避難民に支援物資を届ける等「命をつなぐ」支援活動を幅広く展開しています。

　この場をお借りし、今回の紛争で犠牲となられた方、被害に遭われた方々に深く哀悼の意を表します。“前線”となってしまった両国の国境付近の地域に、そして両国の人々の心に、一日も早く平穏が戻ることを心から願っております。

小菅 義之