ホーム 新マガジン記事 クソ真面目とパープリンのクメール飯考: 001 クメール人はなぜそんなに、米を食べるのか?

カンボジアクロマーマガジン5号

あずさ クメールごはん飽きた。ピザかサンドかスパゲッティ。米以外のものが食べたいっ。

 

健 あずちゃん。それは連載の企画を根本からひっくり返すたわごとだけれど、どうしたかな?

 

あずさ クソ真面目に皿メシや米麺ばっかし食べてても、クメール飯の本質は見えてこないよっ!小麦粉をください、私にグルテンを……!

 

健 クメールの食を考えるのに、米は切っても切れない食材だよ。カンボジアは、南北にメコン川が縦断し、インドシナ最大の湖であるトンレサップ湖もあるでしょう。だからこそ稲作が盛んになり、米を中心とした食事が大きく発達したんだね。かたや、ベトナムの米は19世紀の植民地に海外への輸出を目論み栽培され、今や二期作、三期作が当たり前になって質が落ちているし、ラオスの国産米は質がいいから地元で高値で売り買いされ、海外にはあまり出回っていない。一期作の良質な米が安定供給されているのは、カンボジアの米食を支えている大きな要因なんだ。

 

あずさ うまい国産米が豊富なのはわかったけど、だいたいこの国の人は米を喰う量が多すぎるっ!ほら見てあの青年。洗面器でごはんを食べてる。山下清もあんな量は食べられないよっ‼
それにしてもクメール人、特に田舎の男性なんかは毎食米をしこたま食べているのに、キレイな筋肉質体型だよね。この人たちに糖質制限という概念はないのかしら。

 

 稲作を生業としている農民や、メコン、トンレサップの漁民の体つきは本当にきれいだね。彼らは三食、ちょっとした淡水魚の干物や発酵物、塩蔵物をおかずに洗面器ごはんを食べるが、水田や船上で体を使って働いているから、体躯がいいんだね。

 

あずさ あっ!見て‼あの青年、洗面器ごはん2杯目だよっ!次は魚醤と刻み唐辛子乗せ。さすがに魚醤と唐辛子だけで洗面器ごはんが喰えるようになったら、いっぱしのクメール男児って感じする!私は今、カルボナーラが食べたいけど。

 

 

著者紹介

園 健 Sono Ken

クソ真面目。写真家、料理家として活動。94年からインドシナ半島で旧フランス植民地の生活様式を主題に撮影に取り組む。

 

田中 あずさ Tanaka Azusa

パープリン。コピーライター、料理家、フードスタイリストとして活動。インドシナ家庭料理を研究し、広告などで食のコンテンツを制作。


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