まだ見ぬカンボジアに出会う小旅行へ―現地発カルチャー&旅行情報誌「クロマーマガジン」

2024年10月、シハモニ国王陛下の御在位20周年を記念し発行された20万リエル紙幣 （出典：カンボジア国立銀行Facebookページ）

見慣れないリエル口座がインターネットバンキング画面に表示されて驚いた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

本年3月に発表されたカンボジア国立銀行（NBC）の発令により、カンボジア国内の各銀行は「リエル建て預金口座」および「リエル建て取引の支払い方法」をすべての顧客に提供することが義務化されました。

各銀行は、その期限とされた2024年9月までに顧客へのリエル口座開設の促進を進めましたが、自動的にリエル口座が追加されることになったケースも少なくないのではないかと思われます。ただしその一方で「リエル口座の開設・解約は手数料対象としないこと」、「リエル口座は年次手数料対象としないこと」もあわせて通達されました。そのため、今回のリエル口座開設にまつわる手数料は発生しないものとされていますのでご安心ください。

この数年、カンボジア国内におけるリエル流通はとてもスムーズに促進が進められています。予期せず見舞われた“コロナ禍”も、米ドル小額紙幣からリエル紙幣使用への移行、そして現金取引からキャッシュレス取引への移行の観点では大きな追い風となりました。2024年現在、リエル紙幣およびリエル建てキャッシュレス決済はより自然に広い場面で好まれています。「リエル化」の取り組みはこれからも慎重かつ緩やかに進められることが予想されます。この国の進歩とともに変化していく通貨と決済をめぐる景色は今後もとても興味深いところです。

小菅 義之