ホーム 新マガジン記事 JICAカンボジアリレー: 【JICAカンボジアリレー】日本のODAによるシハヌークビル港支援30周年

カンボジアクロマーマガジンPP20号

2006年度から2008年度、在カンボジア日本国大使館の経済協力班で勤務していた星倉です。この度、約20年ぶりにJICA長期専門家、シハヌークビル港湾公社(Sihanoukville Autonomous Port。以下「PAS」という。)の港湾運営アドバイザーに着任しました。当時、お世話になった皆様が、今もお元気でこの『クロマーマガジン』を読まれていることを願っております。

今回執筆の機会をいただきましたので、PASに対する日本の30年にわたる支援についてご紹介します。

JICAによるPASへの「港湾運営アドバイザー」派遣は、2005年から20年以上続いており、小職は10代目の専門家として着任しました。

【日本の支援30周年「筆者、右から3番目」(提供PAS)】

我が国によるシハヌークビル港へのODA協力は、1996年に始まり、2026年5月1日には、30周年記念式典がフン・マネット首相の出席のもと開催されました。

この30年間、我が国は技術協力、無償資金協力、有償資金協力(円借款)を通じて港の開発・運営・管理の支援を行ってきました。

港の整備面では、日本の支援により、コンテナ船専用のターミナル(水深9.3~10.4m)に加え、一般貨物を取り扱う多目的ターミナル(水深7.5~13.5m)の岸壁が整備されています。国際物流で主力となっている大型船の利用が可能です。

1995年には約3.9万TEU*しかなかったコンテナ取扱量は、2025年には約135万TEUを記録しており、この30年間で約34.6倍に増加しています。これは博多港の2025年のコンテナ取扱量である約98万TEUを上回っております。

20年前のカンボジアは、縫製業が主な産業でしたが、2009年にコンテナターミナルが完成した同じ時期に、プノンペンSEZ(経済特区)も完成しており、ここに電子部品、自動車部品、衣料・縫製品、加工食品などの製造工場が集積しました。

その他の地域にもカンボジア国内には数多くのSEZが整備され、多くの外資系企業が進出しており、製造業が増えています。

日本がシハヌークビル港にコンテナターミナルを整備したことは、大型コンテナ船の寄港が可能となり、これを契機に海外企業の投資が加速し、国内の産業を活性化させ、国の経済を支えることに繋がっています。

現在は、さらに多くのコンテナが取り扱えるよう、水深-14.5mの新コンテナターミナルを建設中で、2027年中の供用開始を目指しています。その他、水深-16.5mと水深-17.5mのコンテナバースについても工事着工に向けた準備が始まっています。

運営・管理面では、PASには、約1,600人の職員が勤務しており、日本の技術協力で培われた知識やノウハウが日常業務に活かされています。現場でできるところから技術支援を積み重ね、日本の技術や医療機器を活かし、カンボジアの人々の健康に貢献するとともに、両国が共に支え合い成長できる関係につながればと思います。

【コンテナターミナルの荷役状況(2025年8月27日撮影)】

日本の協力の特徴は、施設整備だけではなく、人材育成を通じてPASが自律的かつ継続的に港湾を運営・管理できる体制づくりに協力してきたことにあり、フン・マネット首相からも、シハヌークビル港に対する日本の「ハード」と「ソフト」の両面からの協力に大きな期待が寄せられています。

また、これからのPASの将来については、2050年を見据えた新たなマスタープランの策定が進められています。今後、北米航路等の大型コンテナ船が直接寄港できる港となり、世界に通用する国際競争力のある港となるようPASとともにさらなる発展に取り組んでいきます。

*TEU(Twenty-foot Equivalent Unit):コンテナ船や港湾の取扱量を表すための国際的な標準単位。日本語では「20フィートコンテナ換算」

港湾運営アドバイザー 星倉 淳一

 

独立行政法人国際協力機構(ジャイカ) カンボジア事務所

ジャイカは、日本の政府開発援助(ODA)を一元的に行う実施機関として、

開発途上国への国際協力を行っています。

Web: https://www.jica.go.jp/cambodia/index.html

Facebook: JICACambodia


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