ホーム 新マガジン記事 JICAカンボジアリレー: 【JICAカンボジアリレー】カンボジアの公衆衛生課題―― 非感染性疾患の急増、日本の技術支援

カンボジアクロマーマガジンPP19号

突然ですが、カンボジアでは今、どのような疾患で亡くなる人が多いかご存じでしょうか?「死因」と聞くと眉を顰める方もいるかもしれませんが、人々の健康や公衆衛生を考える上で、疾病構造を知ることは大切な一歩です。

カンボジアでは死亡統計が十分に整備されていないため推計値になりますが、現在の死因の多くは、心疾患、脳血管疾患、糖尿病といった生活習慣病やがんが占めています。30年前は肺炎や新生児死亡が上位だったことと比べると、疾病構造は大きく変化しています。こうした病気は「非感染性疾患(Noncommunicable Disease: NCD)」と呼ばれ、経済発展による生活習慣の変化や高齢化に伴い、近年の重要な公衆衛生上の課題となっています。

この状況に対し、保健省も対策に乗り出しています。「Less salt, less fat, less sugar(塩分・脂質・糖分を控えめに)!」というバナーをご覧になったことはあるでしょうか?少し前までは、電話の呼び出し音のメッセージにも使われていました。国を挙げたNCD予防啓発に加え、保健センターでの血圧・血糖スクリーニングの拡充も進められています。

NCD外来における診察の流れを視察する様子

 

1995年以来続けてきた母子保健や感染症対策から疾病構造の変化を踏まえ、JICAは2024年より新たに「非感染性疾患対策プロジェクト」を開始しました。国や対象州のNCD対策プログラムの運営管理を支援するとともに、州・郡病院における医療サービス強化に取り組んでいます。

現場では、医師や看護師の知識不足、基本的な医療機材や医薬品の供給不足、診療情報の不足など、多くの課題があります。その大きさに圧倒されそうになることもありますが、プロジェクトでは現状を整理し、優先活動を明確にしながら、機材調達や研修を行い、その効果を測るためのデータ収集を地道に進めています。

例えば糖尿病は、進行すると失明につながる「糖尿病網膜症」を引き起こすことがあります。症状が出る前の早期発見が重要であるため、対象州病院に日本製の眼底カメラを導入し、糖尿病外来と眼科の院内連携体制を整えました。さらに、得られたデータや現場で見えた課題を整理して、病院から州保健局、そして保健省への改善策の提言へと繋げています。

今後、カンボジアでNCDの患者数の増加により医療体制や医療費を含む社会経済への影響が増していくのは確実です。現場でできるところから技術支援を積み重ね、日本の技術や医療機器を活かし、カンボジアの人々の健康に貢献するとともに、両国が共に支え合い成長できる関係につながればと思います。

非感染性疾患対策プロジェクト
専門家 春山怜、大滝潤子、市原和子

 

独立行政法人国際協力機構(ジャイカ) カンボジア事務所

ジャイカは、日本の政府開発援助(ODA)を一元的に行う実施機関として、

開発途上国への国際協力を行っています。

Web: https://www.jica.go.jp/cambodia/index.html

Facebook: JICACambodia


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