まだ見ぬカンボジアに出会う小旅行へ―現地発カルチャー&旅行情報誌「クロマーマガジン」

　観光産業において数多くの優秀な人材を輩出している、シェムリアップの職業訓練学校「エコール・ポール・ドゥブルー」。ヨーロッパ大手ホテルグループAccorの創始者の1人であるポール・ドゥブルー氏が2002年10月に設立し、徐々に規模を広げてきた。カリキュラムはレストランサービス、キッチン、ベーカリー、ルームキーピング、ツーリズムの5コースに分かれている。毎年300名の生徒募集に対し、カンボジア全土から1,000通を越える入学願書が届くという超人気校だ。

　学長をはじめ講師陣は全員、観光・ホテル業界でのキャリアを持つエキスパート。ほとんどの授業は英語で行われ、就業後のキャリアアップも視野に入れた一般教養の授業にも力を入れている。また、教育施設はホテルのような造りで、実務を想定した構造にすることで、生徒達の理解度が向上する仕組みだ。訓練用のレストランや客室は一般客にも開放されていて、生徒達の実践の場となっている。シアタールームや図書室、PCルームなども完備で、充実・徹底した教育体制と設備を誇っている。

　設立11年目を迎えた現在、学校は大きな転換期を迎えようとしている。2015年のASEAN統合による国政の変化が、教育の現場にも影響を及ぼす可能性が高いからだ。カンボジア政府から卒業生達へ発行されているカリキュラム修了証書が、統合国すべての国で通用する証書となるよう、学校は長い時間をかけて独自に政府への働きかけを行っている。シェムリアップで学んだ生徒達が海外で活躍する姿を目にする日も、そう遠くないかも知れない。