まだ見ぬカンボジアに出会う小旅行へ―現地発カルチャー&旅行情報誌「クロマーマガジン」

　バイヨンペイストリースクールは、フランス系NGOのバイヨンスクールが運営する職業訓練校だ。バイヨンスクールでは子供たちへの教育支援を行っており、設立は1996年。バイヨン寺院の近くで孤児たちに教育を行っていたカンボジア人修道士に共鳴したあるフランス人が、彼の意思を引き継ぎ設立した。現在運営している小学校には250名の生徒が通う。子供たちのためにソーシャルワーカーや給食制度を設け、高校の授業料や大学教育の支援も行うなど継続的な支援が行われている。

　しかし、学校を卒業しても専門的な技術を身につけていなければ安定した職を得ることは難しい。特に女性の場合はその機会が乏しいため、早期の結婚を選択したり給料が安い不安定な職へ就くことが多い。そのため、バイヨンペイストリースクールの生徒は女性のみ。専門的な技術を身につけたパティシエの育成を目指し2014年9月に開校、現在17歳から25歳まで16名が在籍している。年間で何百万人もの観光客を受け入れるシェムリアップだからこそ、ホテルやレストランには技術を持っていれば雇用の可能性が十分にある。彼女たちは11ヶ月の間お菓子作りの技術的な訓練はもちろん、英語や数学、衛生学からパソコンの扱い方まで様々なことを学ぶ。トレーニングには合計で4ヶ月間のインターンシップも含まれ、実際にホテルやレストランでの実地研修を行っている。

　学校にはカフェが併設されており、生徒たちが作ったお菓子を実際に販売している。利益は学校の運営にあてられ、接客の実践の場にもなる上にお客さんの反応を直に見ることで自分たちの成果が確認でき、日々のモチベーションにつながっているという。第一期生の彼女たちが無事に卒業し、全員が安定した職を得ることが当面の目標だ。