カンボジアクロマーマガジンREP5号
こんにちは。アンコール共生病院医師の加藤です。
今日はカンボジアに来て驚いた「ある食材」の使い道についてお話します。
カンボジアに来て数週間、救急外来での診察をしているときのことです。バイク事故を起こしてスネに怪我をしてしまった患者さんが運ばれてきました。幸いなことに骨折はなく、感染を予防するために怪我の部位をきれいに洗浄しようという方針になりました。まず数リットルの生理食塩水で傷を洗った後に、現地の先生がペットボトルに入った茶色い謎の液体を持ってきました。止めようと思う間もなく、その液体をドロッと傷口にかけ始めました。
何をかけたかを先生に聞いてみると、それはハチミツでした。カンボジアでは感染のリスクの高い傷口にハチミツをかけることがあるよと教えてくれました。説明を聞いても半信半疑です(笑)
他の先生にも聞いてみましたが、伝統的な治療としてハチミツを傷にかけるということを昔からやっていたし、今も医療現場で使うことがあると言っていました。
日本の医療の常識にとらわれていた僕はどうしても信じることができませんでしたが、その夜に論文を調べてみると、ハチミツの殺菌効果や傷口の治りを早くする効果は世界的に有名な医学雑誌でも認められていました。
また、後日眼科の診察をしていて、ハチミツを目薬として使っているという患者さんが来て驚いたこともありました。聞いたこともなかったので、これも調べてみると、ドライアイの緩和や殺菌効果があることが証明されていました。
漢方などの薬草や今回のハチミツなど、西洋医学と一見かけ離れているような
伝統医療にしっかりと科学的な裏付けがされているのを知ると、先人の知恵の深さを実感します。先進国の医療では経験できないことも勉強になります。ではまた。
加藤寛彬
アンコール共生病院 Angkor Japan Friendship International Hospital
総合・専門診療科、予防接種、健康診断に対応。
日本人医師と日本語が話せるスタッフが駐在している。
24時間365日(救急) 電話番号:076-677-7879
Web:https://ajfih.org/ Facebook:ajfih
- タグ
バックナンバー
- 【医療コラム】BMIのお話 カンボジアクロマーマガジン6号
- 【医療コラム】早期発見が鍵!~視力定期検診を広める取り組み~ カンボジアクロマーマガジンREP4号
- 【医療コラム】炭水化物には要注意!? カンボジアクロマーマガジンPP2号
- 【医療コラム】子供の身長と食事 カンボジアクロマーマガジンPP9号
- 【医療コラム】冷たいものには要注意!? カンボジアクロマーマガジンPP3号
- 【医療コラム】傷口に〇〇〇〇、目薬にも〇〇〇〇? カンボジアクロマーマガジンREP5号
- 【医療コラム】歩くことの大切さ! カンボジアクロマーマガジンPP4号
- 【医療コラム】カンボジアの未熟な視力検査状況と目指す未来 カンボジアクロマーマガジンREP1号
- 【医療コラム】バームのお話 カンボジアクロマーマガジンPP5号
- 【医療コラム】紫外線と目のリスク:白内障手術再開 カンボジアクロマーマガジンPP2号
- 【医療コラム】雨季のカンボジアで健康を守るための蚊対策 カンボジアクロマーマガジンREP3号
- 【医療コラム】サプリのお話 カンボジアクロマーマガジンPP7号
- 【医療コラム】傷の治りと食べ物 カンボジアクロマーマガジンPP8号