ホーム 新マガジン記事 医療コラム: 【医療コラム】カンボジアの未熟な視力検査状況と目指す未来

カンボジアクロマーマガジンREP1号

初めまして。8月からシェムリアップ市内のアンコール共生病院で眼科医師として勤務している加藤です。
カンボジアでの日はまだ浅いのですが、日常や仕事で気づいたことをお伝えしていきます。

こちらで生活を始め、日本との違いをたくさん感じます。その中でも人々の笑顔がとても印象的です。日本が「ストレス社会」と言われるのと比べて、カンボジアではのんびりとした時間の流れを感じます。町の人々は誰でも笑顔で親しみやすく、私の子供たちにも優しくしてくれ、すぐにシェムリアップの居心地の良さに気付きました。

眼科医としても大きな違いを感じています。国全体で予防医学が未熟であるカンボジアでは、視力に関する検診がほとんど行われていません。日本に住んでいれば、誰もが学校や職場で視力検査を経験しているはずです。そうです、あれです。Cの字がどちらを向いているかを当てるあの検査です。

特に幼少期の視力検診は非常に重要です。例えば3歳児検診や就学時検診で引っかかる子供の中には、親も気づかないうちに視力の成長が止まる「弱視」と呼ばれる状態がよくあります。この弱視、8歳までに眼鏡をかけてしっかりと治療すれば、視力が改善されます。しかし、気づかずに放っておくと視力の成長は8歳で止まってしまい、0.1にも達さないことも多く、一生そのままです。本来守ることができる子供の視力を失わないために、検診を行う必要があります。

この現状を見て、今後日本の3歳児検診のタイミングで視力をチェックすることをシェムリアップで広めたいと考えています。スマホの普及率は非常に高いので、自宅でも簡単にできる視力検査用のアプリを使ったチェックを保健省と相談しながら州内、国内で勧めていければ、preventablebblindness(防ぐことのできる視力低下)を減らす環境を作れると考えています。この国で眼科医としてやれることは多そうです。

加藤寛彬

 

アンコール共生病院 Angkor Japan Friendship International Hospital

総合・専門診療科、予防接種、健康診断に対応。
日本人医師と日本語が話せるスタッフが駐在している。

24時間365日(救急) 電話番号:076-677-7879
Web:https://ajfih.org/ Facebook:ajfih

 


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