カンボジアクロマーマガジン25号
となりのとなりで。
第4回:自然の器
木村 彩湖
食す前にまず愛でる。人である以上、モノを食べる上で美しさという要素はとても大切だ。
先日友人と一緒に、カンボジアのお野菜やお魚を使って、クメール料理を作ろう!という会を開いた。写真はその時に作った、バナナの花と鶏肉のサラダ。
わたしがカンボジアの市場で一番最初に何だこれは?!と思った食材の一つが、このバナナの花。日本では決してお目にかかることはない食材だといっていいだろう。
実際にはスープにすることが多いようだけれど、今回はサラダに。灰汁が強いのでライム果汁入りの水の中に千切にしたバナナの花を入れて灰汁を抜き、茹でて手で裂いた鶏肉、たくさんの香草やピーナツ、漁醤などと混ぜ合わせて作る。これを、使ったバナナの花の皮を器に見立ててあしらう。さらにその下に敷いたものは、バナナの葉。緑の葉っぱの上に、反対色の濃いピンク色の花びら。
和食でもお料理に紅葉をあしらったり、花や葉っぱを添えたりすることがあるが、どこの国にも使った食材の皮や殻を器にするスタイルがある。しかし花を器に見立てるというのは、なおさら美しいなぁ。自分で作っておきながらなんて優美なお料理なのだと思ってしまった。皆さんもぜひパティー料理なんかに作ってみて下さいね。
そして今度家でご飯をつくるときも、余って捨てそうな皮を器に料理を盛ってみよう。きっと楽しみが増えるはず。
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