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ホーム マガジン いせきを護る人たち: 第六回 現場担当者の声 サン・ペウ氏

カンボジアクロマーマガジン41号

 

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第六回 現場担当者の声 サン・ペウ氏

 

生まれと大学時代

 

 ベトナム国境に程近いスヴァイリエン州で生まれたサン・ペウは、97年より奨学金を得て王立プノンペン芸術大学で建築を学んだ。在学中だった02年と03年の夏、シェムリアップにおける上智大学の中堅技術者養成建築研修(各約一ヶ月間)を受けたことが契機となり、アンコール遺跡修復に興味・関心を抱いた。

 

CVを持ち上智大学へ

 

 04年4月30日のことであった。元研修生であるサン・ペウが自身のCVを抱えて上智大学オフィスへやってきた。聞くと、「アンコール・ワット西参道で遺跡修復の仕事をさせて欲しい」という。丁度西参道修復工事が忙しい時で、猫の手も借りたい状態であったことより、直ちに東京と話を詰め、5月末より仕事に就いてもらった。

 

アンコール・ワット西参道の修復現場にて

 

 現場でのサン・ペウは「和を重んじる」タイプの技術者であり、誰からも好かれた。途中日本での技術研修で神奈川県に7ヶ月間滞在し、日本行きの夢も叶えつつ、帰国後は西参道現場に復職し、西参道第1工区を完成させるまでしっかりと勤め上げた。退職後もかつての作業員らの人望は厚くシェムリアップに来ると皆で集まって会食している仲である。

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設計事務所を立ち上げる

 

アンコール・ワット西参道(第1工区)の完成後はプノンペンに移り、設計事務所「クメール・アンコール・コンストラクション」を立ち上げて今に至る。事務所にインターンシップ制度をつくり建築学生が実務を学ぶ場を提供している。また彼が設計に関与した写真の喫茶店2Fでは、芸術大学で学ぶ生徒の作品を展示している。店舗では学生割引もあるなど、徹底して若者の育成を意図したビジネスを展開している。
 後日彼が私に語った言葉を記しておきたい。「三輪さん、僕はアンコールでの仕事を続けることはできませんでした。でもアンコールのことは決して忘れてはいません。ちゃんと会社の名前に入れてありますから」。心に響く言葉であった。ありがとう。

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サン・ペウ氏(Mr.Sam Peou)

1979年スヴァイリエン生まれ。2003年プノンペン王立芸術大学建築学部卒業。2004年5月より2008年5月まで上智大学アジア人材養成研究センターの常勤建築スタッフ。その間2006年3月に結婚し、同年8月から2007年3月まで神奈川県技術研修員制度にて湘南工科大学で3Dスキャニング技術を学んだ。現在プノンペン在住。2児の父。設計事務所Vorak Khmer Angkor Construction. Co.,Ltd社長。携帯 : 097-3039555、メール: sampeou_king@yahoo.com

 

三輪悟(みわ・さとる)

1974年東京生まれ。1997年よりアンコール遺跡国際調査団に参加。1999年日本大学大学院修士課程(建築学専攻)修了。現在、上智大学アジア人材養成研究センター現地責任者。

 

上智大学アジア人材養成研究センター

上智大学の石澤良昭教授が所長を務める研究機関。『カンボジアの文化復興』と題する報告書を1989年より年度毎に刊行している。「カンボジア人による、カンボジアのための、カンボジアの遺跡保存修復」をモットーとし、当初より一貫してカンボジア人の人材養成の重要性を説き、継続的に活動を展開している。

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三輪悟(みわ・さとる)

1974年東京生まれ。1997年よりアンコール遺跡国際調査団に参加し、カンボジアを訪れる。1999年日本大学大学院修士課程(建築学専攻)修了。同年よりシェムリアップ駐在を始める。現在、上智大学アジア人材養成研究センター現地責任者。

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