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カンボジアクロマーマガジン25号

各国のフリーペーパー編集部がコラボしてお伝えする、アジアン便り。今回は、各国の結婚式についてです。

タイ Thailand

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意外とこじんまりしたバンラック区役所。バレンタイン・デーには別会場を用意して対応する。

タイ人は験を担ぐのが好き。

 

 結婚式の後に忘れてならないのが、婚姻届。タイでは事実婚も多く、役所に届け出ない場合もあるが、届け出る人にはそれなりのこだわりがある。結納や結婚の日取りは有名な占い師や高徳の僧に2人の吉日を見てもらうが、役所に届ける日は自分たちの好きな日を選ぶことが多い。誕生日や思い出の日以上に人気なのは、タイでも愛の日と考えられている2月14日のバレンタイン・デー。

 届け出る役所にもこだわる。婚姻の届け出は住居登録がある役所でなくとも、どこでも受け付けている。バンコク都内で人気が高いのは、区の名前に縁起のいい言葉が入っているところだ。
・「ラック(愛)」を含むバンラック区役所。バレンタイン・デーには通常の10倍に当たる300組以上が届け出に来る。
・「トーン(金)であふれる場所」を意味するジョムトーン区役所。夫婦生活を営む中でお金に困ることがないようにという思いが込められる。
・「スー(誠実)」を含むバンスー区役所。おもに男性の誠実さを求めて、ここが選ばれているようだ。
  「バレンタイン・デーにバンラック区役所で」というのは、以前から人気があったが、ほかの区は4~5年前から一種の「町おこし」として、区の名前の縁起のよさをアピールし始め、利用する人が増えてきた。

 

ライター:田澤悠(ダコ)
http://dacolab.daco.co.th/tvdaco/

ときにタイ初心者用にサラリと上澄み情報を。ときに在タイ数十年の古株でも、気にはなっていたが知らなかった事実を白日の下に。1998年5月の創刊以来、無料の情報誌でありながら、硬軟とりまぜた毎号の特集のバックナンバーが書店で正規ルートとして売られ、不埒な輩は街でゼロで仕入れてネット上で500円以上で密売するという、内容以上に役立つこともある情報誌です。

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ベトナム Vietnam

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花嫁家へ結納品を届ける花婿。ブライズメイドは親族や友人が務める場合が多い。

結婚にまつわる迷信エトセトラ

 新暦の11月頃から旧暦の年末までの数ヶ月間、街のあちらこちらでウェディングドレスやアオザイに身を包んだ花嫁と花婿の写真撮影が行われ、街は華やかな雰囲気に包まれる。ベトナム結婚式シーズンの到来である。ホーチミン市内では1年も前から予約をしないとおさえられない会場もあるほどだ。
 披露宴は時間通りに始まることはほとんどなく、締めの挨拶もないままに招待客はバラバラと帰っていく。さらには新郎・新婦の知り合いでなくてもご祝儀を包めば参加できるという、かなりゆる~い雰囲気の式もある。
 ところでこのベトナムの結婚式。実は結婚にまつわる迷信やしきたりが数多く存在する。例えば、ブライズメイドを何度も務めると今季が遅れるため新婦家はブライズメイドへお金を包まなくてはならない(「赤いお年玉」と言われる)、妊婦が結婚式に出席すると縁起が悪い、式前に物を割ると不吉、式後3日間、新婦は実家へ帰ってはいけない、などなど。ひと昔前までは式の日取りや時間だけでなく、結婚相手も占いで決めていたのだとか。
 最近では、式の様子をインターネットで中継するオンライン結婚式や、お寺婚といった新しいスタイルの結婚式も登場。このお寺婚、式当日に過去の懺悔や相手の短所を書き記した手紙を互いに読み上げるとのだという。

 

ライター:大久保民(ベトナムスケッチ)
http://www.vietnam-sketch.com

ベトナムの生活・観光情報を余すところなくお伝えする、ベトナム初現地日本語情報誌。A4サイズにリニューアルし、内容もさらにパワーアップ。ハノイ、ホーチミン市、ダナンなど、ベトナム全土の旬の話題をご提供。

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ラオス Laos

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 結婚それは国家との契約

長い道のり ラオスでの結婚手続き

 

 ラオスは社会主義である。何をしようと思っても書類抜きでは進まない。日本のように、役所に婚姻届をだせばOK!というわけにはいかない。さて、ラオスで結婚する時、どのような書類が必要になるのだろうか。特に書類が多くなる外国人の例を見てみよう。
 まずは、当然、身分証明(パスポート)が必要。そして、結婚申請書を提出するわけだが、それらに添付する書類をざっと上げてみる。戸籍証明、就労証明、居住証明、履歴書(本人履歴他、出会いから結婚までのいきさつも記載)、独身証明書(本国法務省)、無犯罪証明書(本国警察庁)、財産証明(銀行口座写し)、健康診断書(エイズ検査含む)、大使館意見書、ラオス出入国記録、親族履歴など。これらをラオス語に訳すが、訳が正しいことを証明するために指定の翻訳会社の認印が必要になる。これらを、村→郡(市)→県の役場の順番で手続きを行う。そして、ラオス警察で恋愛履歴等を職務質問され、外務省が認めた後、相手方(ラオス人)本籍地の県庁が最終的な結婚証明書を発行する。時間にして早くとも3ヶ月はかかる。代行会社に頼むと2,000~3,000$の費用がかかる。警察を相手に、真顔で馴れ初め話をする。何が審査基準なのだろうか。ラオスでの結婚、それは、人生の修行の場かもしれない。

 

ライター:森卓(テイストオブラオス)
http://www.yyisland.com/yy/laos/

 

2004年創刊、ラオス初の日本語情報誌。現在は毎3ヶ月(季刊)で発行。編集方針は、一人でも多くの人にラオスを知ってもらい、訪れた人にもう一歩踏み込んだラオスを伝えたい。主要都市の詳細地図と情報豊富なレストラン・インデックスが便利。

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カンボジアCambodia

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アンコールワットをバックにパチリ

アンコールワットで世界遺産ウェディング

 

   カンボジアといえばアンコールワット。世界遺産アンコール遺跡群は、旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」の「行ってよかった海外観光スポットランキング2012」で堂々の一位を獲得。そんな世界中から愛される大遺跡で、なんと結婚式が挙げられるのです。
正確に言えば、結婚式ではなくウェディングフォトの撮影。地元市民の間では既に有名な撮影スポットであり、結婚式の工程には必ずアンコールワットでの撮影が組み込まれているほどです。当日は赤いリボンで装飾されたウェディングカーに乗って、アンコールワットに降り立ちます。ブライズメイトやカメラマン、メイク係などを従えた新郎新婦は、まるで映画スターさながら。荘厳な遺跡を背景に、衣装を替えポーズを変え、「人生で一番幸せな日」を写真にしたためます。
 ちなみにカンボジア人のみならず、外国人でも撮影はOK。(お堀より先に入る場合は遺跡管理局での許可が必要。)市内の高級ホテルや旅行会社では、アンコールワットでの撮影を含んだ外国人向け挙式プランを提案しているところもあり、手軽に世界遺産ウェディングの実現が可能です。海外挙式場としては、まだまだ無名のカンボジア。ユニークなウェディングご希望のカップルの方々、いかがですかな?

 

ライター:矢羽野 晶子(クロマーマガジン)
http://krorma.com/
http://www.facebook.com/krorma

 

カンボジアはシェムリアップ発、「使って便利、読んで楽しい」がコンセプトの無料季刊誌。アンコール遺跡情報はもちろん、どこに行こう、何食べよう?という時にバックに忍ばせておくと便利なガイドブック。ビジネス向けの総合情報誌「カンボジア情報ガイドブック」も好評発売中です。2012年、ますます熱いカンボジアへぜひいらしてください!

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フィリピン Philippine

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会場外でも即席でテーブルをもうけ、宴をひらきだす……

ご祝儀不要 ! お祝いしてくれる人は みんなWELCOMEのフィリピン式披露宴

 

  東南アジア唯一のキリスト教国であるフィリピンにおいて「結婚」とは文字通り一生に一度きりのもの。キリスト教の中でも保守的なカトリックが多いので離婚をすることは基本的には許されません。またフィリピンの教会結婚式は結婚する二人がカトリックでないと認められないようです。由緒正しい教会で式を挙げることは女性にとっての憧れですが、宗教の制限があるのは日本と異なりますね。 披露宴での費用は主催者側が負担するので、ちょっと見栄っ張りでメンツを大切にする気質のフィリピン人は借金をしてでも華やかな宴会を開こうとするのだとか。日本と違って参加者はご祝儀を持参しません。披露宴にはお祝いをしてくれる人なら誰もが気軽に参加できるフィエスタ(祭り)の側面もあるといえます。
 披露宴を開いた場合、唯一ご祝儀をくれるのがニノン(Ninong)とニナン(Ninang)です。これは日本でいう仲人のようなものですが関係はもっと親密で、家族同然の立場になります。ニノン・ニナンは経済的な面での支援も要求されるので地元の名士など裕福な人を選ぶことが多く、誰かのニノン・ニナンになるということは非常に名誉な事とされています。
 フィリピンにおいて結婚は二人の繋がりだけでなく、その家族や親戚同士の絆も結ぶものです。フィリピン人が家族を大事にする理由が垣間見える一コマです。

ライター: フィリピンプライマー編集部 A
http://primer.ph

ライフスタイル関連の情報を中心に、フィリピンのあらゆる情報を網羅した比国で初の日本語情報誌(月刊・無料)。フィリピン生活を快適に過ごすアイディアや情報満載のウェブサイトも運営しています。

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インド India

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馬に乗った新郎の登場に皆大興奮。

インドの超ゴージャス結婚式

 

インドの結婚式、といっても多民族国家であるこの国では宗教や地域によって実に様々な結婚式のスタイルがあります。今回は最も代表的なヒンドゥー教徒の結婚式について紹介したいと思います。
 ヒンドゥー教徒の結婚式。準備から当日まで時間もお金も労力もかかるまさに人生における一大イベントです。最近は恋愛結婚も多くなってきましたが、やはり圧倒的に親が相手を決めるお見合い婚が主流。結婚は個人でする物でなく、家同士の契りなのです。
 結婚本番の儀式は短縮しても1週間はかかります。
ここでは書ききれないほど実に様々な宗教的儀式があり、お坊さんのお経、火の回りを2人で周り、全身にターメリックを塗りたくる、足をミルクや水で清める、ココナツの実を割る、などなど…。それぞれの儀式の意味や由来まで掘り下げれば本が1冊かけてしまうくらい。
 さて、そんな儀式とは別に行なわれるのが披露宴。両家の財力が一目で分かってしまうのもこの場です。お金持ちの披露宴はとにかくゴージャス!来場者は数千人規模、俳優や大手企業の社長など有名人も呼ばれます。ダンスミュージックを大音量で流し大人も子どもも踊りまくり、花火まで打ち上げられます。私達でも気軽に参加できるオープンな場なので、機会があったらぜひ参加してみて下さい♪

ライター: 飯島綾子(月刊Chalo)

http://gekkanchalo.com

インドのデリー、グルガオンエリアの最新情報をご提供する、日本語の月刊無料情報誌です。レストラン、SPAなどの生活情報に加え、不動産仲介業、会計事務所などビジネス向けの情報も掲載。2012年にはバラマキ用にぴったりなタージマハルの形をした紅茶クッキー(個包装)の販売もスタートしました!!
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シンガポール Singapore

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マレー系の結婚式。王族風の豪華でエキゾチックな民族衣装に身を包む。

息が切れるまで大声で叫び続けるべし「ヤァ~~~~~~~ムセンッッ!!」

 多民族国家であるシンガポールでは、中国系、マレー系、インド系とそれぞれの文化や伝統に則ったスタイルで儀式やパーティが催され、我々日本人から見ると新鮮な驚きでいっぱい。先日私が当地で初めて出席した中華系の結婚披露宴での衝撃ポイントはと申しますと。
(その1:開始時間になっても全然始まらない!)招待状には19時半開始と書かれていたのに、定刻に行っても誰もいない。仕方なく空きっ腹にひたすらワインを流し込み待ち続ける。そのうちちらほら人が集まりはじめ、主役の入場及びお食事のサーブが始まったのは21時。
(その2:乾杯の叫びはひたすら長く大きく!)お料理も中盤に差し掛かり今更?と思う頃に乾杯があり、みんなで「ヤァ~~~~~ムセンッッ!!」と叫ぶ。これは広東語での乾杯で、二人の幸せが長く続く事を祈って息の続く限り声を張りあげるのだそう。
(その3:メインのお料理が出たら勝手に帰ってOK!)メニューにはデザートまで記載があるが、デザートがサーブされる頃、ふと後ろを振り返るとほぼ誰もおらず。
    聞けば、これらはすべていたってノーマルなスタイルとのこと。でも、披露宴で流れ解散って・・・?!

 

ライター:石川敬子(マンゴスティン倶楽部)
http://www.mangosteen.com.sg

シンガポール在住日本人の生活をさらに豊かにする、役に立つ、楽しい情報を提供している月刊の日本語フリーマガジン(1998年創刊)。昨年より、「日本」に興味を持っている高所得者層のシンガポール人を対象にした季刊の英字フリーマガジン(WAttention)も発行。

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インドネシア Indonesia

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お嫁さんの実家から迎え入れる儀式 Bukeanの一部。

バリ•ヒンドゥー教の神聖なる儀式

 

 バリのヒンズー教の結婚式は、 ヒンドゥー教の全能の唯一神がサン・ヒャン・ウィデ ィの前でおこなわれる、バリ•ヒンドゥー教独自のスタイルをもつ宣言式。神への宣言なしでは、結婚は成り立たない地だ。 最近ではバリ人達のライフスタイルが現代的になって、簡素化されてはいるものの、 今も古き伝統と慣習に基づいて行われ、婚前から結婚式にかけて、いくつもの儀式が、バリ暦にあわせて行われる。日取りは大変重要である。お嫁さんになる女性の家まで迎えにいく儀式からはじまり、 結婚式は大概旦那の自宅で行われる。地域や家族によっても様々だが、約2週間は儀式や準備で大忙し。結婚式のプログラムの中には、家族以外の会社の同僚や友人を呼んで行われる日本の披露宴のような会もある。バリ人達はとてもフレンドリーなので、もし、知り合ったバリ人が結婚式を行う予定などがあったら、ぜひ訪れてみよう。とても美しい衣装、伝統的な豪華なお供え物、バリ人達の真髄を垣間みることができる。

ライター:吉田陽子(アピ・マガジン)
www.api-magazine.com
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2002年4月バリ島にて創刊。2009年からクーポン付きマガジンとしてサイズも大きくリニューアル。2ヶ月に1回(奇数月15日)発行。バリ島を中心に、ジャワ島、スラウェシ島、ロンボク島などインドネシア中の観光情報や最新情報を紹介中。地元編集部ならではの土着したインドネシアでの生活術、地域密着情報まで、インドネシア人スタッフと力を合わせ、日々取材に走り回っています。


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