カンボジアクロマーマガジンREP6号
こんにちは。アンコール共生病院医師の加藤です。
今回は当院でも開始することができた遠隔診療についてお話します。日本からシェムリアップに来てみて、こちらの眼科医療の問題点を肌で感じています。
① 眼科医不足
そもそもカンボジアには眼科医が国内に90人と非常に少なく、ほとんどが首都プノンペンにいる。人口100万人のシェムリアップ州ですら私を含めて4人のみ。
(日本では1万人に対して1人の割合で眼科医が存在)
② 眼科医偏在
新潟県と同じの広さのシェムリアップの中で、6km圏内の市街に4人の眼科医が固まっているため、州のほとんどの地域では眼科受診が不可能。
③経済の未発達
住民の収入が非常に低いため、症状が非常に進行してほとんど失明近くならないと眼科を受診しようとしない。
以上のような問題点から、シェムリアップでは眼科へのアクセスが非常に悪く、治療のタイミングを逃してしまう患者さんが多くいます。特に田舎の地域でこの傾向は強いです。
今回、解決のためにRotaryClubKamogawa様から寄付を頂き、スマホに接続して使用する検査デバイスを導入することができました。
スマホのカメラ部分にレンズと特殊なライトを接続することで、非常に高解像度の眼の写真を撮ることができ、診察に十分なクオリティになっています。
実際に小学校での眼科検診においても、デバイスによって白内障を正確に診断することができました。
- 正常な眼です
- 活動で見つけることができた小学生の白内障
また、スマホに保存された写真はどこにでも送ることができるので、この年末に日本に一時帰国したときには、日本とシェムリアップをオンラインでつないで遠隔診療を実際に行うこともできました。
オンラインでの診療は、シェムリアップの眼科医療の問題点を解決していくうえで大きな武器になると思っています。ではまた。
加藤寛彬
アンコール共生病院 Angkor Japan Friendship International Hospital
総合・専門診療科、予防接種、健康診断に対応。
日本人医師と日本語が話せるスタッフが駐在している。
24時間365日(救急) 電話番号:076-677-7879
Web:https://ajfih.org/ Facebook:ajfih
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