カンボジアクロマーマガジン5号
クメールの手仕事
ひんやりとした銀に刻まれた、古のクメールの物語
プノンペンから北40㎞にあるウドンは、シャムの侵略を受けたクメール王が17世紀初めに遷都した古都で、その後プノンペンに都が移されるまで250年間に渡って王都として機能した。そのウドン近郊のトンレサップ川の畔に、当時から続く銀細工師たちの村が遺っている。
カンボジアの銀細工は、融解・プレス・成形・彫刻・研磨の工程を経て完成するが、このうち成形までが男、彫刻と研磨が女と分業になっており、制作は各家庭で行われている。冷たい銀の塊から、唐草や絵巻を纏った碗、動物や果物を象った入れ物、装身具などが生み出されていく風景は、まるでおとぎ話の世界に入り込んでしまったかのように美しい。
こうして作られた銀細工は最近は土産物として見かけることが多いが、本来は王室や寺院などの宗教的催事に用いられるもので、クメールの精神や歴史に深く結びついた伝統工芸である。
誌面版はコチラ!
Amazon Kindle クロマーマガジンNo.5
- タグ