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カンボジアクロマーマガジン12号

美しい蓮と作り手に出会う時間

[取材・文]谷岡郁子 [写真]谷岡郁子 [制作] 谷岡郁子

美しい蓮と作り手に出会う時間
-to beautiful lotus & hand maker-

蓮が生い茂る水面を、巧みに櫓を操りながら小さな手漕ぎボートを進める。

世界遺産を擁するシェムリアップ。多くの旅行者は遺跡を見学し、その壮麗さと壮大さに触れることを目的にしているだろう。勿論、カンボジアはそれだけではない。何気ない人の笑顔、トンレサップの湖面を吹き抜ける爽やかな風、地元の人で溢れる屋台の活気。今回は、”どこかに行く”、”何かを見に行く”ではなく、”その場の空気を感じる”旅へご案内します。

朝日を浴びて、次々と花を咲かせる蓮畑。見渡す限りの蓮の群生は、現実離れした風景を生み出す。そんな美しい景色に、カンボジアの日常の悲喜こもごもが混じり合う。

「作り手さんの工房と、一面の蓮を見に行きませんか?」最初のお誘いはそんな言葉だった。トンレサップ湖の近く、工房で使うウォーターヒヤシンスを収穫しにいく同じ場所が素晴らしい景色という。是非にとお願いし、早速行くことにした。当日、彼女と共にトゥクトゥクに乗り込み現地へと向かう。道すがら、沿道のいつものカンボジアの朝の風景が流れていくのを何気なく眺める。ボートの船着き場のある水上集落への細い道を入ると、一気に昔ながらの田舎の風景に。木の杭にボートが止めてあるだけの簡単な船着き場からゆっくりと漕ぎ出される手漕ぎボート。静かに水面を進むボートからは、岸辺でおしゃべりに興じる地元のお母さんや漁をする親子など、カンボジアの日常を垣間見ることができた。

今回お誘いいただいたユキコさんは、very berryというカンボジアのいいものを集めたセレクトショップのオーナーであり、トンレサップ湖にほど近い村のお母さんと共に作る、ウォーターヒヤシンス製品ブランドpavanasara(パバナサラ)のデザイナー兼プロデューサーでもある。

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