ホーム 新マガジン記事 Joy Of Art: 【Joy of Art】表現の世界、アートの森

カンボジアクロマーマガジンREP16号

 「みんなちがって、みんないい」 金子みすゞ氏の詩『私と小鳥と鈴と』の一節です。これは単に個性の違いを表すだけでなく、自然界や芸術表現の本質を言い当てています。

 鈴は美しい音を奏でられても空は飛べず、小鳥は自由に飛べてもすずやかな音は響かせられません。それぞれが個性を全うする姿は、多様な命が集まる「森の生態系」に通じます。高く伸びる大木、木陰で育つシダや苔、落ち葉を土へ還す菌類。互いに水や養分を分かち合い循環する森の姿は、そのまま「美術表現の世界」と重なります。

 表現の世界に決まった正解はありません。あふれる感情を鮮やかに打ち出す世界もあれば、削ぎ落とされた静寂の世界もあります。ありのままを追う表現も、内面の哲学を問いかける表現もあります。力強い造形も繊細な表現も、どれも「その人にしか生み出せない大切な命」の表現であり、多様な個性が重なって深く豊かな「表現の森」が生まれます。

 授業料も材料費も無料で運営する私たちの小さな絵の学校では、この「みんなちがって、みんないい」という想いがカンボジアの若い教師たちに引き継がれています。彼らは子ども時代の表現を深く理解し、一人ひとりの個性を丸ごと受け止め、感性を伸びやかに育てています。純粋な感性から生まれた作品で満たされたスクールギャラリーは、あたかも豊かな「アートの森」のようです。

笠原知子

 

 


小さな美術スクール Small Art School

元都立高校美術教師・笠原知子が2008年に開校した完全無料の美術スクールです。これまでに国内外で絵画展を実施。現在の生徒数は約450名。スクールの他に、2つの村への出張授業、カンボジア11州で美術授業を実施。

WEB:www.smallartschool.org 
メール:smallartschool@gmail.com
Facebook:SmallArtSchool

 


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