カンボジアクロマーマガジンPP4号
カンボジアの各州には、日本の総合病院にあたる州立病院があります。簡単な手術や治療は可能ですが、脳外科や循環器系の疾患、腫瘍等は、プノンペンやシェムリアップに行くしか治療手段はありません。病床環境も不衛生で、廊下や屋外のベッドで過ごす患者もいますし、医療機器はあるけれど、使いこなせていない現状もあります。また、家族が日常生活の支援を全て行い、一緒に過ごすため、看護スタッフの観察も少ないのです。
わたしは、病院の業務環境を改善し、医療サービスの向上を図るために、①5S(整理整頓)活動の実施、②感染予防管理のサポート、③医療安全の導入に取り組んでいます。
正直なところ、問題は山ほどあります。広い視野で物事をみることや、予測することが苦手なカンボジア人が多く、同じ場所や同じ物事をみていても、“日本人であるわたし”と“現地のスタッフ”では問題の認識に差があり、視点が全く異なると感じることも少なくありません。しかし、医療の現場においては、小さなミスが生死に関わるからこそリスクセンスとアセスメント能力(問題解決能力)を育む必要があります。
ということで、「医療安全」をテーマに危険予知トレーニングを開始しました。カンボジア人にとって、医療安全について学んだ機会が無く、初めてで難しいという印象でした。危険予知トレーニングは想定される場面を提示し、危険を見つけ、対策を考え、実行するという手法です。問題解決法を論理的に説明しようとすると理解を得られないけれど、間違い探しの感覚で実施すると、スッと頭に入っているようでした。対策を実行に移すことは難しいですが、高い意識でアンテナを張るきっかけになってくれればと思います。先日、あるスタッフが、私が提示した事例にでてきた失敗談を話してくれました。カンボジア人がミスを話してくれたことにも驚いたし、主旨を理解して、実践につなげてくれているように感じ、とても嬉しかったです。
私が行っていることは本当に小さな小さな種にすぎません。伝えたいことはたくさんありますが、文化・価値観の違いや、語学のカベがあり、正確に伝えることができずもどかしい思いをする日々です。しかし、活動を継続することで現地スタッフに良い影響を与え、意識や行動の変化に繋がることを期待しています。また、同様に、協力隊員になったことで、自分自身の価値観や思考も変化し、成長する機会になっています。
JICA海外協力隊 コンポンチャム 看護師 村上真世
【カンボジア・教育】協力隊員は任地でどんな生活をしているの?~クイズ・JICA海外協力隊の1日~
YouTube: https://www.youtube.com/watch?v=77pAt-LJEkU
独立行政法人国際協力機構(ジャイカ) カンボジア事務所
ジャイカは、日本の政府開発援助(ODA)を一元的に行う実施機関として、開発途上国への国際協力を行っています。
Web: https://www.jica.go.jp/cambodia/index.html
Facebook: JICACambodia
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