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カンボジアクロマーマガジンPP20号

バコン決済の拡大とリエル建て取引の浸透

[写真・文]

Bakong(バコン)は、カンボジア国立銀行(NBC)が運営する国家決済プラットフォーム。KHQR決済や各種送金・決済サービスを通じて、カンボジアのデジタル決済市場を支える中核インフラとして急速に普及している。

 

バコン決済は近年、カンボジアのデジタル決済基盤として急速に普及している。グラフ1が示すように、2025年の取引件数は13億2,560万件に達し、2024年の約6億610万件から前年比118.7%増(約2.19倍)となった。

 年間取引件数を時間換算すると、1日当たり約360万件、1時間当たり約15万件、1分当たり実に約2,520件もの決済が処理された計算となる。こうした取引規模は、バコンがカンボジアの決済インフラとして広範に利用されていることを示している。

また、グラフ2を見ると、取引件数に占める通貨構成にも大きな変化がみられる。2021年にはUSドル建て取引が全体の79.9%を占めていたが、2025年にはリエル建て取引の割合が58.2%まで上昇し、USドル建て取引の割合(41.8%)を初めて上回った。

これは、KHQR決済を含むバコン利用の拡大を背景に、国内決済におけるリエル利用が着実に進展していることを示している。

さらに、グラフ3からは、2025年を通じてリエル建て、USドル建てともに取引件数が増加基調で推移していることが確認される。

特に第4四半期にかけてはリエル建て取引の伸びが顕著となっており、デジタル決済の利用拡大とともにリエル利用機会が増大していることがうかがえる。

 

 

 

グラフ4によると、バコンの取引総額は2021年の23.2兆リエルから2025年には899.1兆リエルへと急拡大した。これは約2,220億USドル(約35兆円)に相当し、カンボジアGDPの約4.5倍の規模である。

2025年の取引総額の内訳は、リエル建て285.9兆リエル(31.8%)、USドル建て613.2兆リエル(68.2%)となった。リエル建て取引額は前年比59.4%増と高い伸びを示したが、USドル建て取引額も前年比49.3%増加しており、金額ベースでは依然としてUSドルが約7割を占めている。

 

 

一方で、グラフ5にあるように、リエル建て取引総額の割合は2022年の20.6%から2025年には31.8%まで上昇しており、リエルの存在感は着実に高まっている。

今後、リエル利用促進策やKHQRの普及、越境QR決済ネットワークの拡大によって、この傾向はさらに強まる可能性がある。

 

バコンのデータからは、「件数」と「金額」で異なる姿が見えてくる。取引件数ベースではリエル建て決済が58.2%を占め、日常的な少額決済ではリエルが主流となりつつある。一方、取引金額ベースではUSドル建て決済が68.2%を占め、高額取引や企業決済では依然としてUSドルが中心である。

つまり、現在のカンボジアでは「少額決済はリエル、高額・ビジネス決済はUSドル」という使い分けが定着していることがバコンのデータから確認できる。

(出所)カンボジア国立銀行「Financial Stability Review 2025」「PSD Annual Book 2025」より

山本善之



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