カンボジアクロマーマガジンPP2号
「スマートシティって何?」とよく聞かれますが、実は各国で定義が異なります。「ICT等の最新技術を使い、都市の課題解決を行い、生活者の利便性・快適性の向上を目指す」こととされています。
2018年にシンガポールで開催されたASEAN首脳会合でASEANスマートシティネットワーク(ASCN)の設立が提唱され、域内26都市がモデル都市として選ばれました。カンボジアからはシェムリアップ、プノンペン、バッタンバンが選定され、それを受けて、JICAはシェムリアップのスマートシティ実現を支援するために「シェムリアップにおける都市課題解決のためのスマートシティアプローチ実装プロジェクト」を実施しています(実施期間は2022~2025年)。このプロジェクトでは州政府職員の計画立案能力の強化を行うと同時に、ゴミ収集の効率化、センサーを用いた環境モニタリング等のパイロット事業を行い、都市問題解決に向けたスマート技術の導入を進めています。
3年間で全ての課題を解決することは当然ながら難しいため、都市課題の解決を担う人材育成が重要と考えています。能力強化の一環として、各種活動を通した実地研修(OJT)や、スマートシティに資する知識を得る研修も実施しています。例えば、観光局に集約される観光統計等の情報が適切にデータ管理されるように、カンボジア・デジタル技術アカデミー(CADT)が提供するITスキルトレーニング研修を実施、日本の公益財団法人CIESFがCADTと開発した、クメール語の「ITパスポート」教材を使用した研修を、州政府職員73名が修了しました。
2023年5月には、スマートシティの先進事例を学ぶため、州政府職員が日本を訪れ、香川県高松市や兵庫県加古川市の自治体での取組みや、千葉県の柏の葉地区や東京都・大丸有地区での官民連携、世界遺産である姫路城でのAR・VRのコンテンツなどを学びました。参加者からは、日本各地で異なる魅力・食文化が発信されており、日本の「おもてなし」の精神に感銘を受けたとの声が寄せられ、シェムリアップでも遺跡以外の魅力の発信ができるのではないかと、議論を重ねていました。
プロジェクトでは、シェムリアップにおけるスマートシティが、現地の人々の手によって持続的に実現できるような「ひとづくり」を、「魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教える」をモットーに、様々なアプローチを推進していきます。
寄稿:「シェムリアップにおける都市課題解決のためのスマートシティアプローチ実装プロジェクト」専門家、三宅繁輝(チーフアドバイザー) 池田亮平(スマートシティ/業務調整)
独立行政法人国際協力機構(ジャイカ) カンボジア事務所
ジャイカは、日本の政府開発援助(ODA)を一元的に行う実施機関として、開発途上国への国際協力を行っています。
Web: https://www.jica.go.jp/cambodia/index.html
Facebook: JICACambodia
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