カンボジアクロマーマガジンPP12号
先日職場でのふたりのカンボジア人たちの会話がとても興味深かった。朝学校へ登校するプノンペンの小学生の子どものカバンを、送り迎えの運転手が学校の中まで持って行ってあげている姿を「甘やかしている」と嘆くA。それに対して「私立の学校は毎日20冊も教科書があってキャリーケースで運びたいくらいだからしょうがない」と反論するB。ふむふむ、この手の話、聞いたことがあるぞと思ったわたし。
明治20年前後の日本の学習院での話だ。学習院に通ってくる子どもたちが、荷物を使用人に持たせて通学してくる姿に、「けしからん! 貧富関係なく教育は平等であるべきだから、自分の勉強道具は自分で運ばなければいけない」そう考えた学校が採用したのが、江戸時代にオランダの軍隊のカバンとして入ってきたランセル。つまり日本のランドセルだ(諸説あり)。
これを思い出し、カンボジアにはランドセルがないから大変だなぁと思った。6年間通学を支えるランドセル、あんなに頑丈で便利なものが日本だけの文化だというのがもったいない。しかし、考えてみればあれほど高額なカバンを買ってもらう6歳というのも贅沢な話だ。カンボジアの場合はランドセルどうのこうのでなくて、教師が持ってくるべき教科書の冊数を前日に指示すればいいだけの話、と、カバンひとつで考えがあちらこちらへ飛んでゆく。
増子夕夏
おかっぱ書房 Okappa Shobou
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