カンボジアクロマーマガジン6号
編集部がお勧めするストリートフード
ヌンバンチョック・ソムロークマエ
Num Banh Chok Samlor Khmer
ヌンバンチョックはカンボジアの国民食ともいえる麺料理で、朝食や軽食として親しまれており、柔らかい米麺に温かいスープをかけ、そこに胡瓜や蓮の茎、バナナの花、たくさんの香草を添えて食される。スープは数種のバリエーションがあるが、屋台では専ら「ソムロー・クマエ(クメールのスープ)」と呼ばれる、黄緑色のスープが定番となっている。このスープは淡水魚ベースの出汁に、クルーンと呼ばれる数種類のスパイスをすり潰したペーストを調合して作られ、魚の柔らかく優しい旨味とスパイスの爽やかさが絶妙に合わさって、清々しい味わいがいかにも熱帯らしい逸品である。
ヌンバンチョックの麺は米を原料とした米粉麺に分類される。浸水した米を石臼で挽きいてペースト状にし、それを発酵させた上で杵で搗いて増粘させ、それを沸騰させた釜の上に設置した製麺機で押し出したものをすぐに茹て作られている。非常に手間のかかる工程ながらも、今でも多くのヌンバンチョックが農村にて手作りされ、それが市場へ流通している。
ヌンバンチョックのお話し
ヌンバンチョックはハレの日に食される料理でもあり、宗教行事や冠婚葬祭の場でも提供される、カンボジアの文化に深く根差した料理である。一般的には東南アジアで食されている麺料理の多くが、中国南部の潮州の麺料理から派生したものと考えられているが、上記の理由もあってヌンバンチョックには異なった起源があるのではないかという説を唱える者もいる。その説に関連するヌンバンチョックにまつわる面白い昔話があるので紹介したい。
昔トゥンチェイというクメール人の少年がいた。彼は偏屈だが頭が良く、カンボジアの高官まで上り詰めた。しかしその性格が災いして煙たがられ、王より中国が発展しているのかを調べてこいと命じられ、事実上中国へと左遷されてしまう。トゥンチェイは中国でカンボジアで食べられていたヌンバンチョックの移動屋台として生活を営み始めると、たちまちその麺料理が美味しいと評判となり、最終的には皇帝に接見することが叶う。しかし彼はそこでも無礼を働き、最終的に中国で投獄されて死亡する。しかしヌンバンチョックは中国の人々にその後も親しまれ、中国の麺料理の祖となったという。
カンボジアにクメール人最初の国家真臘国が建国されるのは6世紀。一方、中国の文献に麺が初出するのは2世紀の「四民月令」であり、ヌンバンチョック麺起源説は史実としてはかなり信憑性の低いものだが、この料理が古くからカンボジアで親しまれてきたものであったことが覗えるお話しである。
伝統的な味を安全に伝える場所: マリス
屋台料理であるが故、衛生的な面で旅行者にとってはなかなかハードルの高いヌンバンチョック。そんな時におすすめなのが、プノンペンとシェムリアップに店舗がある高級クメール料理店「マリス」である。国内で最も高名なクメール料理シェフLuu Meng氏が、国民食的麺料理を国外にも発信すべく、伝統的なレシピに則っとりながらも衛生的で高品質のヌンバンチョックを提供しているので、カンボジアを訪問した際は是非その味を試していただきたい。
Ingredients
Noodles
Num Banh Chok Noodle (Rice Flour)
Soup
Snakehead Fish Fillet, Prahok, Lemongrass, Turmeric, Kcheay, Garlic, Fish Sauce
Topping
Banana Flower, Cucumber, Lotus Shoot, Herbs, Edible Flower, Bean Sprout
Shop infromation
Malis Phnom Penh
No. 136 Norodom Blvd., Phnom Penh, Cambodia
+855 (0)15 814 888 | phnompenh@malis-restaurant.com
Malis Siem Reap
Pokambor Avenue, Siem Reap Riverside, Siem Reap, Cambodia
+855 (0)15 824 888 | siemreap@malis-restaurant.com
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