まだ見ぬカンボジアに出会う小旅行へ―現地発カルチャー&旅行情報誌「クロマーマガジン」

　前回2名のカンボジア人アーティストを紹介しました。彼らはすでに名も知られカンボジア国内で活躍しています。しかし多くの評価は所詮国内評価であり、アートに興味があるフランス人などのビジネス的な価値観でアートシーンを動かしています。

2008年頃から王立芸大の客員教授としてカンボジアアートに関わり、その現状を知り今日に至っています。この10年間で随分レベルもあがり、美術市場も盛り上がりを見せています。しかしここに来て少し頭打ちを感じています。その理由は海外の一流アーティストとの交流がなく新しい感覚が不足していることと、国内のアート評価がない事だと思います。

現在、コレクターの多くは欧米人で、一部に中国人がいます。カンボジア人の購入者はほとんどおらず、アートの価値を理解していない現状です。日本人も買いませんね。何とか日本人のニーズに合ったアートを開拓したいと思っています。日本人の場合は大きな作品よりも部屋に収まるサイズが良いですね。価格帯も$500〜$1000ぐらい。私は$500で絵を描く事は出来ませんが量販できるのであれば可能です。

今考えているのは高画質プリンターを使った上級紙への印刷です。
シルクスクリーンによる有名作家の作品はご存知でしょうか？作家の直筆サインが入り、限定数も入ります。値段はオリジナルの5分の1ぐらいです。$1000の作品なら$200ぐらいでしょうか。この考えで選んでサイズに合わせてプリントし、作家に直筆サインと限定枚数を入れてもらえれば立派な作品です。オリジナル作品の発展は当然重要です。オリジナルが評価されなければプリント作品の需要も生まれませんから。

今まさに、日本人へのニーズの開拓、日本からのアーティストの参入によるカンボジア人との交流。そして次回また書く予定のアニメーション参入に努めたいと思います。カンボジアのアート産業のために。

山田 隆量