カンボジアクロマーマガジンREP17号
ここ数ヶ月、ピックルボールなるスポーツに興じている。仲間もでき、定期的に体を動かすことのありがたみを心身で受け止めている。そしてある晩、コートのエッジに向けて飛んできたボールを受け止めてダイブし、年甲斐もなく擦り傷を負った。
赤く擦り切れたひじを見て、「嗚呼、やってしまったね、ハッスルBBA」と自分にツッコミを入れながら、“ハッスル”についての思い出がよみがえってきた。
あれは小学校6年生だった。地元集落の仮装盆踊り大会(昭和の村人はやたらと仮装をしたがる)に参加したときのこと。仮装をして参加すると何らかの賞がもらえる村の恒例行事だが、仮装ネタが思いつかなかったので、祖母から洋服とサングラスとくるくるパーマのカツラを借りて踊った。踊りが終わると周りが次々と表彰されるのに、わたしの名前は一向に呼ばれない。そして、表彰式が終わった。「あれれ、夕夏ちゃんだげ?わがんねがったわ〜」 近所のおばちゃんの声がした。わたしは、どうやら本当の老婆と思われていたらしい。
というのは嘘か真かは謎だが、急遽用意された賞をいただいた。“ハッスル賞”と筆ペンで書かれたのし紙が貼ってあった。幼馴染の裕介はゲゲゲの鬼太郎だった。それくらいにしておけばよかったが、ハッスル賞はカルピス一箱だったので、うれしかった。
増子夕夏
おかっぱ書房 Okappa Shobou
プノンペンの片隅でいとなむ代書屋です。原稿の執筆から、Webのコピー、お手紙、など「書く」に関するお仕事をしています。
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