ホーム 過去のマガジン記事 トッケーのつぶやき: Vol.2 停電もへっちゃら

カンボジアクロマーマガジン32号

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私がカンボジアに来る時は、日本からワープロ(ワードプロセッサー)を背負ってきた。もちろんイーメイルなど存在していなかった。それでもワープロはずいぶん便利なものだと感じたものだが、1日のうち電気のある時間の方が短かったのが頭痛の種だった。政府機関は、タイプライターを使っていた。

写真は2004年、地方の病院を訪問した際病院の職員がタイプライターを修理をしていたところをパチリ。内戦の生き残りのクメール語タイプライターに驚き、また、やはり昔は発展していた国だったのだ、と改めて感じ、さらにまあよく修理することだ、とその器用さに感心した。プノンペンでは、長女が生まれた1994年の出生証明書はタイプライター打ち、1999年に生まれた息子のそれはコンピュータ化されている。

それこそ若い頃、今から30年前の時代の日本の女性たちは就職に有利になるようにとタイピスト学院なるところにお金を払って通ったものだ。1分間に何文字打てると1級とか一応免状をもらうと一躍プロに近づいた錯覚に陥ったものだ。今は、子供までが誰が教えるまでもなくIT機器を器用に使っている。一体、あの時の投資はなんだったのだろう・・・。

けれども、あのパチパチパチパチ・チン!・ジー、の古き良き機械の音は何ともいえない味わいがある。停電なんかへっちゃらだし。新しいものにはない深い味わいが、人の心に染み入って安らぎを与えてくれる。人もまたそうありたい。


いしもと ゆみ

1992年、NGO職員としてカンボジアに赴任。今は法務税務事務所で日系企業担当として奮闘、カンボジア生まれの2人の子持ち。サーフィンのような人生を楽しみながら、泣いたり笑ったり。

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