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カンボジアクロマーマガジン43号

人生迷走中
第19回: 町に殺される!なんて……
クーロン黒沢(くーろん・くろさわ)

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 90年代中ごろのカンボジアは、本当に、マジで、ろくな食い物がなかった……。

 当時、プノンペンにあった和食レストランは(私の記憶では)わずか4〜5軒といったところ。そのうちまともな店といったら、今も同じ場所で営業を続ける外国人経営のお店くらいで、あとは店主が超弩級の酒乱だったり。たまに傷んだ食材が出てきたり、果ては毎回必ず腐った料理を出してきて、店先で盛大に吐き散らしている先客を見ながらオーダーするような店とか、そんなのばっかりだった。最近この国に来た人は信じられないかもしれないが、これ、冗談ではなく本当の話。インディアン嘘つかない。

 このような状況では、運動などせずとも痩せてゆく一方なのだが、時が経ち、状況も変わって、ここ数年は危機感を持たないとあっと言う間に太ってしまう。事実、私もこの国に住み始めてから10キロあまり体重が増えた。

 かつては、まだ日が昇らない明け方というか深夜、家の周りを4〜5キロ散歩するのを日課にしていた。これはこれで運動以前にかなり怖い。野良犬に追われたこともあるし、背後にスタスタと足音がするだけで冷や汗が流れたものだ。

 前回のコラムでもお伝えした通り、真っ暗ななか、近寄ってきたバイク二人乗りの新聞配達少年を強盗と勘違いし、持っていた長さ50センチのマグライトでぶん殴りそうになったりもした。

 雰囲気的にはそれくらい怖いのだけど、プノンペン市内の住宅街なら、明け方といえど私と同様、軽い運動に励むヒマな老人が行き来しており、皆さんが想像するほど危険ではない。

 そんな静かな運動タイムも7時前にはあっけなく終了。日の出とともに交通量は激増し、通勤タイムの8時を過ぎると砂埃と排気ガスで景色がかすみ始める。

 のんびり運動できるような公園や広場がほとんどないプノンペン。そうした場所も、朝と夕方は盆踊り風味のローカル・エアロビクス集団に占領され、外国人は肩身が狭い。

 一時はサイクリングに目覚めてみたりもしたが、殺人的な紫外線が降り注ぐ日中はチャリなど乗れたものではないし、それなら涼しいうちに漕げばいいやっ……と、明け方、某スラムを走ってみたところ、ゴミ拾いの二人組に襲われ、買ったばかりのカメラをまんまと盗まれてしまった。

 さてどうしようか──と周りを見ると、近頃増えつつある小綺麗なスポーツジムを発見。ここなら安全や!と思いきや、会員はホモだらけ、みたいな……。

 まじめに絶望的な状況のなか、皆さんはどんな手段で健康を維持していますか? ぜひお聞かせください!

 


クーロン黒沢(くーろん・くろさわ)

プノンペンの土を踏んで早十うん年。
著書に「裏アジア紀行(幻冬舎)」「エネマグラ教典(太田出版)」「乱世のサバイバル教典(太田出版)」「デジタル・スーパースター列伝(ILM)」など。生活のため、日々冒険を続けてます。新刊「アジアの路地裏に魔界を見た!」ほか、アマゾン・キンドル専用の海外脱出情報誌「シックスサマナ」発売中。
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