ホーム 過去のマガジン記事 特集: 山に息づく 少数民族の暮らし カンボジア北東部 高地クメール族

カンボジアクロマーマガジン37号

山に息づく 少数民族の暮らし カンボジア北東部 高地クメール族

[文] 多賀史文 [取材・写真] 多賀史文/Hou Sokratana [制作] 安原知佳(クロマーマガジン編集部)

 精霊のいる暮らし クルン族

ゴングは音程のある銅鑼

ゴングは音程のある銅鑼

高地クメール民族は精霊、すなわち土地に宿る土地神を信仰している。精霊は山や木、水、、象など様々なものに宿り、村に吉凶をもたらすと信じられている。精霊信仰文化が薄れつつある中、クルン族はその宗教を今でも大切に守る民族だ。

主な居住地:ベンサイ地区、オーチュム地区、コーンモム地区(ラタナキリ州)
人口:約24,000人
生業:焼畑、狩猟採集

クルン族の暮らし

精霊と生贄の儀式

ラタナキリ州のコンラエンバイ村に住むクルン族たちは、村の精霊の機嫌を損ねると重病になるという伝承を信じている。ゆえに、村に重病人が出ると精霊に対して生贄を捧げ、病気の快方を祈るという儀式を行う。
儀式はまず、放し飼いにしている水牛を捕獲する所から始まる。捕まえた晩は水牛が一睡も出来ないようまじないをかけ続け、翌朝に槍で水牛を屠殺、その首と血を祭壇に捧げて祈祷を行う。日中のうちに水牛の解体・調理が行われ、日没ごろになると村人たちが各家庭から自家製の壺酒を持って集まり、主催者が水牛肉の料理を振る舞って宴会が催される。日没後にはゴングという楽器の演奏、歌や舞いを精霊に奉納し儀式終了となる。
近年は病院にて治療を行う村人も増えつつあるが、このような伝統的な儀式も併用して病気治療に当たるのが、この村の仕来りなのだという。

ひょうたんと竹で作った弦楽器

ひょうたんと竹で作った弦楽器

水牛の和え物。肉や内臓は生のまま塩で味付けしてある

水牛の和え物。肉や内臓は生のまま塩で味付けしてある

 

竹で作る伝統家屋

高地クメール族はそれぞれ独自の伝統的な民家を持っているが、クメール人に比べて竹をよく建材に用いている。それは竹が北東部高原地帯の二次林に多く繁茂する植物であり、焼畑民である彼らの身の回りに竹が豊富にあったからだといわれている。中でもクルン族やトンプーン族は竹を編むという方法で、強度を保ちながらも風通しが良く、幾何学模様が美しい壁を作る。
バンルン郊外にあるトンノンラック村は、竹編で作られたクルン族の伝統家屋が残る場所として知られる。核家族用の家屋や、大家族用の長屋など様々なものがあるが、中でも目を引くのが「花婿の家」と呼ばれる、高さ3~4mにもなる小屋だ。この小屋は婚期の男性が高い場所に住み、自らが強く勇敢であることを未婚女性たちに示すという風習に用いられるもの。最近はあまり行われなくなったというこの風習だが、クルン族のアイデンティティとして時々建造されるのだという。

花婿の家(左)と花嫁の家(右)。ヤッロォム湖やカチャン滝などの行楽地でも復元を見ることができる

花婿の家(左)と花嫁の家(右)。ヤッロォム湖やカチャン滝などの行楽地でも復元を見ることができる

 

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