ホーム 過去のマガジン記事 特集: 山に息づく 少数民族の暮らし カンボジア北東部 高地クメール族

カンボジアクロマーマガジン37号

山に息づく 少数民族の暮らし カンボジア北東部 高地クメール族

[文] 多賀史文 [取材・写真] 多賀史文/Hou Sokratana [制作] 安原知佳(クロマーマガジン編集部)

動物を狩る暮らし ジャライ族

動物の牙や角で作られた喫煙具を咥える老人

動物の牙や角で作られた喫煙具を咥える老人

かつてカンボジアの国土は木々に覆われ、森にはゾウや野牛などの大型野生動物が豊かに生息していた。この地に住む人たちはその動物を狩り、その肉を糧として暮らしていた。ジャライ族は今も伝統狩猟を続ける民族のひとつである。

主な居住地:オンドンメアス地区、オーヤダヴ地区(ラタナキリ州)
人口:約24,000人
生業:焼畑、狩猟採集

ジャライ族の暮らし

生業としての狩り

カンボジアの野生動物は乱獲や、材木業者による森林の大規模伐採によって生息域を失い、個体数を急速に減らしつつある。そのためカンボジア政府は北東部高原地帯の森林の多くを動物保護区や保護林に指定し、個体数回復を図っているが、これは長きに渡り狩猟を生活基盤として生活してきた高地クメール族には大きな影響を与えた。
 近年、多くの民族が狩りを行わなくなったが、ラタナキリ州ベトナム国境付近のアンドンメアス地区にあるジャライ族の集落では、現在も「伝統的な狩り」が続けられている。彼らが古くから用いてきたという猟具はクロスボウ。竹や木材、ツタなどを組み合わせたシンプルな作りだが、矢先には毒が塗ってある。近年は大型動物が減ったため、主な狩猟対象は猿や野鳥が多い。獲った動物は炭火焼きや、高地クメール族の郷土料理であるコプロームという料理などに調理して食べている。

動物を捕獲するときに用いられる猟具、クロスボウ

動物を捕獲するときに用いられる猟具、クロスボウ

キャッサバ粉と具材を炊き合わせた民族料理「コプローム」

キャッサバ粉と具材を炊き合わせた民族料理「コプローム」

ジャライ族には捕獲した猿や野鳥などを、ペットとして飼っている人もいる

ジャライ族には捕獲した猿や野鳥などを、ペットとして飼っている人もいる

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