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カンボジアクロマーマガジン22号

各国のフリーペーパー編集部がコラボしてお伝えする、アジアン便り。今回は、各国のタブーについてです。

タイ Thailand

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2010年4月、バンコク中心部のショッピングセンター密集地、ラチャプラソン交差点を埋め尽くす赤服

赤シャツ、黄シャツ

 

 昨年8月に誕生したインラック政権の施政方針演説において、最低賃金引き上げと並び上位に掲げられているのが「国民の和解」。これは、2006年の軍事クーデター後から続く、特権階級中心の反タクシン派(黄シャツ)と中間所得者層で構成されるタクシン派(赤シャツ)の対立によって分断された国民を和解に導くと言うものだ。ただ、それを目指すのは、タクシンの実妹で「タクシンのクローン」と言われている人物。その首相がどこまで両者を結び付けられるのか。
 民主党が政権を握る昨年5月、タクシン派の赤シャツデモ隊によるバンコク都心占拠から、治安部隊との衝突で91人の死者と1400人の負傷者を出した大混乱は、バンコクに滞在する日本人の間では、1年以上たった今でも記憶に新しい。
 新政権がスタートし、若干の落ち着きを見せはじめている。それは結局、赤色と黄色が表面に現れて来ない分、どこで誰が話を聞いているのかわからない状況を生み出した。タクシーの中、飲食店、果ては社内であっても誰が赤シャツ派で黄シャツ派か分からない。
 幸い、編集部ではそこまでの緊張はないものの、まだまだ政治の話をするのは、タブーだ。

 

ライター:田澤悠(ダコ)
http://dacolab.daco.co.th/tvdaco/

ときにタイ初心者用にサラリと上澄み情報を。ときに在タイ数十年の古株でも、気にはなっていたが知らなかった事実を白日の下に。1998年5月の創刊以来、無料の情報誌でありながら、硬軟とりまぜた毎号の特集のバックナンバーが書店で正規ルートとして売られ、不埒な輩は街でゼロで仕入れてネット上で500円以上で密売するという、内容以上に役立つこともある情報誌です。

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ベトナム Vietnam

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入国時にはとことん自主規制を

 

 出入国カードの撤廃など、外国人の渡航規制緩和に近年積極的なベトナム。しかし、目に見えにくい習慣や認識に沿った規制から、トラブルが起こることも少なくない。そんな中でも最近よく耳にする空港でのトラブルが「わいせつ物」の持ち込みだ。
 もちろんあからさまなポルノ雑誌や映像の所持であれば、厳罰のある国も多い。しかし、ベトナムでは日本人なら「え、どこが?」と思ってしまう週刊誌や雑誌も「わいせつ物」にあたるのだ。旅行中の読み物に空港の売店で買った、在住の友人へのお土産に、などと気軽に持ってきた週刊誌に、もし水着のグラビアやちょっぴりセクシーな雰囲気の写真が載っていたら…それは立派な「わいせつ物」。
 当たり前の話だが、国が違えば基準が違い、ベトナム人にとって、これらの図書は完全タブー。持ち込みは立派な法律違反となり、雑誌の没収だけならまだ良いけれど、最悪の場合1000~2000US$の罰金もある。しかも基準は税関職員の見解に左右されるため、できる限りの自主規制が無難だ。
ちなみに、無申告で持ち出せる外貨持ち出し上限も、これまで上限とされていた、7000ドルから5000ドル(または同額相当の外貨)にこの9月より引き下げられた。少しずつ渡航者に対する規制の緩和はされているが、持ち込みや持ち出しについては何かと規制が強化されているので、渡越の際はご注意を。

 

ライター:杉田憲昭(ベトナムスケッチ)
http://www.vietnam-sketch.com

 ベトナムの生活・観光情報を余すところなくお伝えする、ベトナム初の現地日 本語情報誌。2011年11月号にて、サイズも内容も大幅リニューアル! 更にパ ワーアップして、ハノイ、ホーチミン市、ダナンなど、ベトナム全土の旬の話題 をご提供!

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ラオス Laos

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雷鳴時のタブー

 

 雷鳴の轟く夜、ラオス人の前では、決してやってはいけないことがある。
 ラオスに来て数ヶ月。まだそのことを知らなかった私は、4階建てビルの2階にある英会話学校に通っていた。登校時は小雨だった天気が急転し、どしゃぶりの雨模様となった。次いで雷鳴が轟き、ブレーカーが落ちた。教室は一瞬で闇に包まれた。私は、急いでポケットから携帯電話を取り出し、電灯ボタンを押したのだった。その時である。ラオス人たちが一斉に叫んだのだ。
 「ケータイを早く、消しなさい!!」もの凄い剣幕で怒ってくるのである。
えっ、何で?日本人としては当然の反応である。何か悪いことしたかしら?と、何度考えてみてもまだわからない。
 ラオス人は言った。「雷がケータイに落ちたら、どうするのよ!」
 はい?
 ラオス人は、電波をキャッチするアンテナが雷を呼び寄せると信じている。しかし、屋外ならまだ話も分かろう。ここは4階ビルの2階部分なのだ。どうやって雷が落ちるのか?ビルの合間を抜けて、斜めに窓から落ちてくるのだろうか?稲妻が横に走るのだろうか?ラオス人はゴルゴ13も真っ青な稲妻の存在を信じている。雷鳴時の携帯電話。ラオスのタブーである。

 

ライター:森卓(テイストオブラオス)
http://www.yyisland.com/yy/laos/

創刊から制作、営業、配布、集金まで、一人でこなした時期もあったが、あれから8年が経過。最近では、イベントにも足をつっこんだり、観光プロモに励んだりと、ますます何が本業か分からなくなってきた。2012年はラオス観光年。皆さんラオスをよろしく。
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カンボジアCambodia

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見渡す限り人、人、人の披露宴会場

結婚式は欠席すべからず!?

 

 今年もまたこの季節がやってきた。乾季のからっとした風が吹く頃、カンボジアは結婚式シーズンを迎える。カンボジアの結婚披露宴は、日本のそれとは趣が異なり、盛大な2次会といった雰囲気だ。体育館並みに広い会場には円卓が敷き詰められ、歌謡曲がガンガン鳴り響く中、数え切れないほどの招待客が飲めや食えやの大宴会。通りすがりの旅人でも参加はウェルカム!そんな一見カジュアルなカンボジアンウェディングだがタブーは存在する。それはなんと、欠席することである。
 基本的に出欠を事前連絡する必要はないが、招待状をもらったら必ず出席することが暗黙の掟である。諸事情で行けない場合には、代りに身内を行かせるか、他の出席者にご祝儀を預けるのが「正解」だ。
 同僚や友人ならともかく、ほとんど面識のない知人まで招待するカンボジアの結婚式。しかし誰が来て誰が来ていないのか、実はしっかりチェックしている。もし欠席してご祝儀も渡していないのなら、表面上はにこやかでも、ひっそりと根に持たれたりするらしい。さらに式の翌日にはご祝儀を帳簿につけるので、誰がいくら包んだかは一目瞭然。適当なようで細かい、カンボジアの意外な一面が垣間見える。

 

ライター:矢羽野 晶子(クロマーマガジン)
https://krorma.com/
facebook/ Krorma Magazine

シェムリアップ発、「使って便利、読んで楽しい」がコンセプトの無料季刊誌。アンコール遺跡情報はもちろん、どこに行こう、何食べよう?という時にバックに忍ばせておくと便利なガイドブック。

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シンガポール Singapore

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その行為“罰金”です

 

 「国内にガムを持ち込めば罰金」というのは有名な話。しかも大量持込みの場合は最高罰金である1万シンガポールドル(約65万円)が課される重刑だ。軽い悪戯のつもりの公序良俗に反する行為が、法律によって厳しく処罰されるのがシンガポールというお国柄。ゴミや煙草の吸殻のポイ捨てすれば罰金、公共交通機関にドリアンの持ち込んでも罰金、トイレ使用後に水を流さなければ、これも罰金。よくもまぁそんな些細なことまで、と関心してしまうほど細かい法律のオンパレードなのだ。
 別の話をもうひとつ。強くて要求が多いと言われるシンガポーリアン女性に対して、日本人的な“女は3歩下がって”のような考え方は一種のタブー。シンガポーリアン男性はマメで優しく、食事となれば殻つきの海老を手際よく剥いてあげ、デート代も当然のごとく支払う。一緒に歩く際は女性用の小さなハンドバックを持ってあげる姿も珍しい光景ではない。ハイヒールを履いた女性に荷物を持たせたまま早足で前を歩く、なんてもってのほか。近い将来“レディーファーストを破れば罰金”なんてこともありえそうだ。

 

ライター:石川敬子(マンゴスティン倶楽部)
http://www.mangosteen.com.sg

シンガポール在住日本人の生活をさらに豊かにする、役に立つ、楽しい情報を提供している月刊の日本語フリーマガジン(1998年創刊)。昨年より、「日本」に興味を持っている高所得者層のシンガポール人を対象にした季刊の英字フリーマガジン(WAttention)も発行。

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インドネシア Indonesia

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バリ島ヒンドゥー教、儀式に参加するとき、寺院を訪れるとき、お祈りをするとき。                 

 

 バリ島に根付く独自のコスモロジーをもつバリ•ヒンドゥー教。とにかく地元バリ島の人々の生活は、宗教ではじまり、宗教で終わる。祝祭日となると、休暇どころか、お祭り、儀式でそれはそれは大忙しです。神と共存しているバリ人達の生活が、観光資源となっていることも事実。そんなバリ島の魅力の真髄、儀式•儀礼に立ち会う、訪れる上で、私達外国人もしっかり気をつけておきたいタブーがあります。寺院に入る時に気をつけること。正装をする。ほとんどの観光エリアでは、上半身は普通服、下半身はサロンとスレンダン(腰布)をまいて入ります。バリ人達と混じって本格的にお祈りを行う場合は、女性ならクバヤ、男性ならサファリと言われる宗教衣装を身につけると、それが敬意へとつながります。極端な例ですが、以前、バリ島で有名は王家の火葬儀礼(プレボン)が行われた時、上半身裸の外国人が、観光気分で立ち入り、大きな問題になったことも…。また、生理中の女性は、寺院に入ることも、祈りの儀式に参加することも許されません。くれぐれもお月様の動きには注意してプランニングを。

 

ライター:吉田陽子(アピ・マガジン)
www.api-magazine.com
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2002年4月バリ島にて創刊した日本語情報誌『アピ・マガジン』(クーポン付きマガジン)。2ヶ月に1回発行(奇数月15日)。バリ島を中心に、ジャカルタ、ジョグジャカルタ、スラウェシ島、ロンボク島などインドネシア中の観光情報や最新情報を紹介。在住者から観光客、日本に在住するインドネシアを愛する皆様に愛読されています。


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