ホーム 過去のマガジン記事 特集: 心がざらつくクメールポップの世界

カンボジアクロマーマガジン32号

心がざらつくクメールポップの世界

[取材・文] 小林 真之輔 [制作] 岡 克哉(クロマーマガジン編集部) [イラスト]小泉 寿

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クメールポップとは?

 カンボジア人、みんなが大好きクメールポップ。豊かなその歌文化は、ドロドロの失恋ソングが大勢を占めていたり、はたまた交通事故で彼女が死ぬ歌があるなど、他の国とは一味違ったユニークな世界が広がっている。そんなワンダーランドの入り口に、そっと足を踏み入れてみよう。

※掲載のクメールポップは意図的にユニークなものを選定しています。

数奇なストーリー!クメール「大河」ポップ

 クメールポップを語る上ではずせないのは、なんと言ってもぶっ飛んだ内容のVCD(ストーリーミュージックビデオ)!その中でも飛び切りの2つを紹介しよう。

歌手: ミエン・ソクソピア / Meas Sok Sophea
曲名:ごめんなさい / I Am Sorry

 32-3-1

 人は間違いをする生き物だ。バケツを彼氏の頭にぶちまけてしまうこともある。彼氏の誕生日にケーキを焼き、誤ってオーブンにライターを入れ爆発、重症を負わせてしまうことも…ある。曲中盤、彼氏を家に残して外出した途端にチュド~ン!!…一瞬の空白。叫ぶ彼女。そして「アイアムソ~リ~♪」とメロウに演奏が再開する。クリームまみれで救急車に運ばれる彼氏はどう見ても半死だ。「もう一度あなたに謝るチャンスをください」。曲中全編、後悔の言葉のオンパレード。「あなたはまだ私のことを愛していますか?」。いいや、それはないだろう。

歌手: カメラ・スライモン / khemarak sereymon
曲名:俺を愛しても未来はない / Srolanh Bong Khman Anakut Te

 32-3-2

チンピラの恨みを買い、3人がかりで襲われそうになるヒロイン。そこに参上した俺!うなるパンチ、キック!最後は中国拳法のような構えで威嚇する俺!助けてくれてありがとう♥とばかりに、ふたりはディナーへ。俺が連れて行ったのはなんとプノンペンの人気焼肉店「浦江亭」。イイ雰囲気で談笑するふたり。そこへ隣のボックス席からひょいと顔を出したのはさっきのチンピラ3人。すべてはヒロインの気を惹くためのくだらないお芝居だったのだ…。しかしここで停止ボタンを押してはいけない。この後、俺はヒロインをゲットするもののチンピラとのギャンブルで全財産を失い、彼女の元を去る壮絶な運命が待っているのだ。もっとも、こんな猿芝居で口説いている時点で、すでに「未来ないフラグ」が立ちまくってるけど…。ちなみに浦江亭にロケ地効果を聞いてみたところ「特に変わりません」とのこと。

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素敵なカンボジアに出会う小旅行へ―The trip to encounters unknown cambodia