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カンボジアクロマーマガジン28号

カンボジア珍テレビ事情

[文・写真] 金廣 純子 [制作] 安原 知佳

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意外!こんなにもある放送局

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 日本の人によく聞かれるのは、「カンボジアって一体いくつチャンネルがあるんですか?」という質問である。恐らく、2,3チャンネルを想像してのことだろう。しかし、国営テレビ局であるTVKと民放各局でなんと13チャンネル!地上波の数は日本の在京キイ局よりも多いのだ。最近民放で最も勢いのあるCTNなどは、いわゆる「総合波」としてCTNチャンネル、「ニュース専門」としてCTCチャンネル、そして韓流ドラマや音楽番組を専門とするエンターテインメント」としての「MyTV」と、3つのチャンネルを持っている。
 こうしたチャンネルごとに番組編成の特徴がある理由は、やはりこの国のテレビのスタートが、1990年代後半から21世紀、いわゆる世界的に「多チャンネル時代」に突入した時期であることに起因していると言える。
 そもそもテレビ放送自体は1960年代にすでに始まったが、ポル・ポト政権下で一時停止となり、その後復活、1986年にTVKがカラー放送を始め、1990年代まではTVKが唯一の放送局であった。今回は、TVKを中心に、この国のテレビ事情のさわりをご紹介する。

ないないづくしの台所事情

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  カンボジアのエンターテインメントとしてのテレビは、韓国や中国の海外ドラマが圧倒的な人気で、音楽番組はカラオケ番組が中心である。しかし、その中味を文字で説明してもなかなか伝わりにくいので、番組を見渡すよりも、まずはTVKの制作現場で私が実際に体験した話から、皆さんに想像していただこう。

時間通りに番組は始まらない、終わらない…

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 たとえば、朝7時丁度に各局をザッピング(註1)してみる。TVKは7時丁度に国歌が流れることになっているし、民放各局の朝のニュースショーは7時にスタートすることになっている。しかし、日本の様に一斉に番組が始まったり、国歌が流れることは、「絶対に」ない。時刻を表示している局もあるが、これもどうやら2,3分はズレている。
 なぜこんなことが起こるのだろうか?TVKを例に取れば、局内にまともな時計は一つもない。壁に掛けられた時計はほとんど動いていないし、動いているとしても大幅にズレている。
 さらに、日本なら絶対に正確無比な電波時計を使っているはずの、生放送用のスタジオには、時計が二つあるのに、2分ぐらいズレている。そして、どちらが正しい時計なのか(恐らくどちらも正しくはない)、誰も知らない。
 日本の様に、番組の送出(註2)がコンピューター制御されている訳ではないのは、勿論だが、手動送出しているにしても、こんなまともな時計のないところで、7時00分00秒ちょうどに、番組なんか始められないのである。そして、当然のことながら、たとえば8時00分00秒に番組なんか終わらせられないし、「終わらせる気もない」。
 事実、私が関わった生放送の番組では、予定より2分30秒ほどオーバーして番組は終了した。「このままだと予定通りには終わらない」と何度も警告した私に、「いいんだ、その分伸ばすから」と言われた衝撃は今でも忘れられない。

註1:テレビ視聴において頻繁にリモコンでチャンネルを切り替えながら視聴すること。
註2:テレビにおいて番組を電波に乗せて送り出すこと。

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素敵なカンボジアに出会う小旅行へ―The trip to encounters unknown cambodia