ホーム 新マガジン記事 クメールの風が吹く村から: クメールの風が吹く村から~障がい児と共に歩む~5

カンボジアクロマーマガジンREP9号

出会った当時、メイサーくんはまだ2歳と6か月でした。先天性の水頭症を持ち、さらにてんかん発作を合併する男の子でした。お母さんは女手一つで育児をされ、
日々、病気との闘いの中にいました。

家計が苦しく、必要な粉ミルクを買うことが出来ず、少しのミルクとお米を炊いた時の上澄みを飲んでいて、出会った時には極度の栄養失調でしたので、定期的な粉ミルクと抗てんかん薬の支援を始めたところ日に日に良くなり、お母さんや本人の笑顔も見られるようになりました。

しかし、今年のクメール正月頃から状況は急変し、ミルクを飲んでも吐いてしまい、水分さえ受けつけない状態になってしまいました。、本来なら通院すべきで
すが、病院で受けた差別的な対応がお母さんのトラウマになっていたため、以前ご紹介した喜多野先生が訪問し出来る手を尽くしましたが、5月のある日の夜、メイサーが亡くなったとの連絡を受けました。翌朝駆けつけたときには、葬儀や火葬の費用が工面できず、家の近くの田んぼの木の下に土葬されていました。そこ
で手を合わせた時、これまで経験したことの無い無力感を感じました。

私たちの支援は、結果的にほんの一年と少しばかりの間、彼の命を繋いだだけに過ぎません。その支援にはたして意味があるのかと、微力さを自問しました。しか
しながらその短い期間、明日のミルクの心配をする事無く、いつ襲ってくるかわからないてんかん発作への不安や苦しみから解放され、母子ともに心穏やかに向き
合えたかけがえのない時間であったことをお母様から頂いた言葉から信じたいと思います。

今私たちが出来ることは目の前の小さな支援を積み重ねていくこと、そのことに改めて気付かされます。

NPO法人スロラニュプロジェクト 近藤 正樹

シェムリアップ市周辺の農村部に暮らす障がいのある子ども達及びご家庭への支援、及び2012年コムルー村に建設したスロラニュ小学校への継続的な支援、重症心身障がい児が入所するシェムリアップ州立孤児院センターへの支援等

Mail:obake627@yahoo.ne.jp
電話番号:096-274-0590
Web:nposrolanhproject
Facebook:nposrolanhproject

 


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