まだ見ぬカンボジアに出会う小旅行へ―現地発カルチャー&旅行情報誌「クロマーマガジン」

　先日、文化体験を希望されるお客様と一緒にお寺に行ってきました。カンボジアでは、仏教が人々の暮らしにとても深く根づいています。多くの人が上座部仏教を信仰していて、普段の生活の中でも「いいことをすれば、きっと良いことが返ってくる」という考え方を大切にしています。

　お寺は地域の人たちにとって心のよりどころのような存在です。何か心配ごとがあったときや、人生の節目のタイミングには、お寺でお清めをしてもらったり、お経を唱えてもらったりすることがあります。僧侶に水をかけてもらう清めの儀式
（ស្រោចទឹកព្រះ スローチ トゥック プレア）では、基本的には清水で行われますが、行事や希望によっては香りのよいハーブや花が加えられることもあります。レモングラスやジャスミンの香りがほんのり漂い、邪気を祓うだけでなく気持ちまで癒される、そんな体験です。私も清めてもらったことがありますが、なかなか激しく水をかけられるので、途中で笑いそうになるのを必死に堪えたのを思い出します。

　また、家族の健康や幸せを願ってお布施をしたり食べ物を持っていったりするのもよくある風習。子どもが一時的にお坊さんになる「一時出家」も今でも行われており、近所にあるワット・ドムナックでは一時出家した子どもたちをたくさん見ることができます。仏教、そしてお寺を通じて、人とのつながりや感謝の気持ちをあらためて感じる時間が、カンボジアの人たちにとってとても大切なんだな〜と、お寺を見るたびに感じさせられます。気持ちをリフレッシュしたいとき、何か悩み事があるときなど、ぜひお寺を訪問されてみてはいかがでしょうか？

篠田ちひろ