まだ見ぬカンボジアに出会う小旅行へ―現地発カルチャー&旅行情報誌「クロマーマガジン」

カンボジアで最も有名な遺跡といえば、言わずもがな「アンコール・ワット」ですが、日本人の方に特に人気のある遺跡としては「ベンメリア」も有名です。遺跡の大半が崩れ落ちてしまっていて、そこはかとない寂寞感が漂っています。

どの時期に訪れても趣がありますが、個人的に一番好きなのは雨季の終わりかけのタイミング。苔や木々が覆い茂り、木漏れ日が神秘的な陰翳を生み出します。生命力を感じさせる鮮やかな緑と崩壊した大伽藍の姿が実に対照的です。

ベンメリア遺跡に関してよく言われるのが「ラピュタのモデルなのでは？」という噂。たしかに、木々に侵食され崩れ落ちた遺跡の姿は、宮崎駿監督の作品『天空の城ラピュタ』を彷彿とさせますね！映画の制作年を鑑みるとモデル説の信憑性はだいぶ低そうですが、真偽はさておき、一歩踏み入れるとまるで物語の世界に入り込んだかのような不思議な感覚が味わえるのはひじょうに魅力的です。（ジブリヲタクの端くれとしても心を揺さぶられます。）

ベンメリアは、崩壊している箇所も確かに多いのですが、一方で貴重なレリーフやナーガ像なども残っているので、遺跡としての見応えもたっぷり！シェムリアップの街から離れた位置にありますが、カンボジア旅行でぜひ一度は足を運んでいただきたい遺跡の一つです。物語の登場人物になった気分で散策してみてください。

カンボジアノート編集M