まだ見ぬカンボジアに出会う小旅行へ―現地発カルチャー&旅行情報誌「クロマーマガジン」

スロラニュプロジェクトでは、学齢期を過ぎた10代半ば以上の子ども達への自立支援（就業支援）や社会参加の機会作りにも取り組んでいます。

シェムリアップ近郊の農村部に暮らすスレイヤーは、出会った当時14歳でした。手足に麻痺が有るため学校へ通うことはできません。日中することが無く、家の軒下のハンモックで過ごしていました。身体に障がいはありますが、知的な障がいは無く、字を読んだり簡単な計算をしたり、人との会話も問題なく出来ます。

何度か訪問を重ねるうちに、「私には障がいが有るので家族にお世話になってばかりで心苦しい、私も何らかの形で家族の役に立ちたい」と思いを語ってくれました。「何が出来るか、そのためにはどんな準備が必要か考えてみてね」と声を掛けると、数週間後、「家の前でお店をしたい、商品の仕入れ等に100＄程必要」と自分で導き出した夢を伝えてくれました。

彼女の思いを受け、スロラニュプロジェクトから開店資金の100＄を貸付け、時間がかかっても良いので少しずつ返済する事を約束しました。彼女は自分で業者と連絡を取り合い、商品を仕入れ、ご兄弟の協力で店のレイアウト等を整え、約1週間でお店をオープンする事が出来ました。村の子ども達向けのおやつや飲み物、普段使いの日用品等を販売する小さなお店ですが、1日のお店番が彼女の生活の中心となりました。

売り上げの一部を生活費として家に入れたたり、10歳の妹に時々お小遣いを渡してあげたり、お客様とのコミュニケーションを楽しんだりと充実した日々を送っています。もちろん、最初に貸し付けた100＄は約束通り約1年半ほどかけて全額返済してくれました。村で小さな起業家の誕生です。