まだ見ぬカンボジアに出会う小旅行へ―現地発カルチャー&旅行情報誌「クロマーマガジン」

10月20日に開催された日本人会盆踊り大会では、補習授業校及び本校の子供たちが、それぞれ素晴らしいパフォーマンスで会場を盛り上げてくれました。本校は、開校以来の伝統であるカンボジア舞踊「ココナッツダンス」を披露しました。しかしながら、「このダンスは、本当に仕上がるのだろうか？」というのが、練習を見ながら私が抱いた率直な感想でした。

ココナッツダンスは、見た目以上に難しいダンスなのです。まず、曲の変わり目がはっきりしないため、タイミングが合わせづらいのです。また、曲の進行に伴い動きが次々に変化していくため、どの動作をどの順番で何回ずつ行うのか、覚えるのがとても大変です。さらに、全体の隊形も次々に変化していきます。

練習が5月中旬にスタートし、少し覚えてきたかなと思ったら夏休み。途中の転出入者も少なくない中、その都度フォーメーションを変更し、練習を重ねました。この間の先生方と子供たちの努力は大変なものです。

そうして迎えた大会本番、子供たちは見事に演じ切ってくれました。それぞれの習熟度の差を、お互いの協力で補い合いました。子供たちの可能性に、改めて感心させられましたし、とても誇らしかったです。

伝統的な日本文化を表現できる現代日本人は意外に少数派です。私自身、自信を持って表現できるものは何もありません。それゆえ、縁あってカンボジアで生活している子供たちが、カンボジアの伝統舞踊に触れ表現者となることは、彼らが自身のアイデンティティを確立していくうえでとても意義深い経験であると信じています。

校長　伊藤　潔