カンボジアクロマーマガジンREP8号
エルニーニョ/ラニーニャ現象は、太平洋赤道域の中部および東部における海面水温が平年より高くなる/低くなる状態が数か月~1年程度継続する現象で、世界中の異常な天候の要因となり得ると考えられています。
東南アジアにおいては、エルニーニョ現象の期間は高温と少雨による乾燥状態となる傾向にあり、ラニーニャ現象の期間は低温と降雨量の増加が発生する傾向にあります。
図1は、アメリカ海洋大気庁(NOAA)公表の、過去のエルニーニョ/ラニーニャ現象の発現指標となるONI(海洋ニーニョ指数)の2000年以降の推移状況です。ONIが0.5以上となる期間が継続するとエルニーニョ、-0.5以下となる期間が継続するとラニーニャの発生を示します。数年の周期でエルニーニョ現象とラニーニャ現象が繰り返されており、直近では2020年中頃~2022年までラニーニャ現象が発生したのち、2023年前半から2024年前半にかけてエルニーニョ現象が発生しています。
図1:2000年~現在までのONI(海洋ニーニョ指数)の変動状況
日本の気象庁のエルニーニョ監視速報(2024年8月9日付け)(図2)によると、現時点ではエルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常の状態になっていますが、今後は、年末にかけて平常の状態が続く可能性が40%、ラニーニャ現象が発生する可能性がより高い60%との見通しになっています。世界気象機関(WMO)や、タイ(TMD)等の気象機関も同様の傾向の予測を発表しています。 ラニーニャ現象はカンボジアに多雨をもたらす可能性が高く、渇水傾向にある地域には恵みの雨となる一方で、洪水が発生する恐れもあります。
図2:エルニーニョ/ラニーニャ現象の発生確率(%)(予測期間: 2024年6~2024年12月)
カンボジアの雨季は例年11月の水祭りの時期くらいまで続きますが、上記の気象予測通りになった場合、雨季の終わり頃に降雨量が増えることになるため、今のうちに洪水への備えを確認しておきましょう。
損害保険では、保険金額がUS$ 10 millionまでの場合、火災保険に洪水の特約を付帯することで、洪水による損害に備えることが可能になりますので、ご検討いただければと思います。
濱口 有知子
バンコク・インシュランス(カンボジア)
三井住友海上が直接出資している、カンボジアで唯一日系の資本が入った損害保険会社。
TEL: 088-788-6610
Mail: ayano@bkicambodia.com
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