カンボジアクロマーマガジン6号
漁村に住んでいると、普段は食べないが美味しい魚がいる。その一つが「ナギナタナマズ」だ。市場を歩いていると、スレイスレイ(お姉さんたち)が一生懸命にスプーンで魚の身をこそげ落としている姿を見かける。スリスリと身をけずり、すり身の山を作っていく。
ナギナタナマズは日本にはおらず、馴染みが薄い魚かもしれない。でも、カンボジア・タイ・ベトナムではよく見かける魚だ。特にカンボジアは、バイヨン遺跡の壁画に描かれるほど古くから身近な魚だ(写真2)。漁村の水揚げ場をぶらついていると、綺麗な斑点を持つ、大きなナギナタナマズが目を惹く。はかりで2kg以上ある個体は、すり身にされたり、高級店に売られたりする。
「ナマズ」と名前についているが、いわゆるナマズとは別系統の魚だ。観賞魚として有名なアロワナと近縁の、オステオグロッサム目に属する魚だ。見た目がナギナタのようだからそのままナギナタナマズと呼ばれているのだろう。英語名もナイフフィッシュと呼ばれており、ナイフ=ナギナタ、ナマズ=フッシュだ。一方カンボジア語では、「裸の魚」(トライ・スラート)と呼ばれている。鱗が無いからだろうか。
市場をさらに歩く。ナギナタナマズは薄く伸ばされ、さつま揚げにされる。裸一貫で揚げられ美味しい。研究の分野で、裸一貫の状況で、もがいている自分を考えさせられる。ナギナタナマズのように、揚げて(方法)旨みがでる(目的)研究をしたいものだ。
目指せ! カンボジアの魚博士!?
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程在籍。トンレサープ湖・カンボジアの人々に衝撃を受け,カンボジアの漁業・魚についての研究を志しました。
寄稿: 岡田 龍樹
Mail:kurumimaru1224@gmail.com
TEL: 096-743-6323
Facebook: Ryuju Okada
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