まだ見ぬカンボジアに出会う小旅行へ―現地発カルチャー&旅行情報誌「クロマーマガジン」

自称プノンペンで一番小さな部屋で暮らす日本人のわたしが、部屋で過ごす時間の大半は日本のドラマを見ている、と言っても過言ではない。テレビはない、だがVPNという利器のおかげをもって日本で放映しているものはほとんど見られるのだから、忙しいったらありゃしない。新クールになるとほぼ全ドラマの第１話をむさぼり見る。その週は自ずと外出禁止。いくつかはわたしの嗜好からこぼれ落ちていくが、通常１週間で10本以上はこなさないといけない。脚本を勝手に考察し、まったく失礼ながら俳優を批評し、過去の類似作品と比較し、頼まれもしないのに兎にも角にもドラマのことをしゃべりたくてしょうがないのだ。

わたしのドラマ好きの歴史は長い。実家では4歳から祖父母と一緒に寝ていた。祖母が生粋のドラマ好きで、わたしの寝物語は絵本の読み聞かせではなく大人のドラマだった。教育上どうなのかと思うが、三つ子の魂なめんなよ、である。

さて、ドラマにはひとりでじっくり見たいストーリー性重視のものと、誰かと語り合いツッコミ合いながら見たいものがある。ひとり暮らしのわたしは後者の楽しみ方を実現すべく、週末に友人2人と「ツッコミ愛、常夏」と称してホテルに泊まり込みドラマを鑑賞する会を催した（何のドラマかはタイトルから想像容易）。友人たちのおかげで語り合いたい欲求が満たされた。第2回目の開催も期待して、今クールもドラマをむさぼり見る忙しい毎日を送る。仕事はしっかりしています、あしからず。

増子夕夏