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カンボジアクロマーマガジン12号

未来につながる食 -lead to the future of food-

[取材・文] 谷岡郁子 [写真]谷岡郁子 [制作]谷岡郁子

カンボジアの”胡椒”に魅せられて

はじまりのとき

 RaysPepperを主宰する木下レイナさん(以下レイナさん)がはじめてカンボジアに移住したのが19歳のこと、1年契約で日本語教師をした後は日本に帰る予定だった。しかし、そこで運命を変える出会いがあった。ある時、知人を通じて出会ったカンボジア人事業家が行っている胡椒を栽培する畑を見学することに。
赤土の田舎道を進んだ先に広がる胡椒畑。初めて目にする胡椒の木。すると案内してくれたカンボジア人マネージャーが、その場で摘み取った生の胡椒の実を勧めてくれた。その食べた胡椒の美味しいこと!レイナさんはまさにその味に衝撃を受けたのだった。シェムリアップに戻ってからも、その感動は尾を引き、試しにスーパーでカンポットペッパーを探してみた。しかし、観光都市シェムリアップといえども、良質なカンポットペッパーを扱うお店はほとんどなく、もちろん、現地在住の人が日常的に口にするものは、高価なカンポットペッパーなどではない。ならば、この美味しい胡椒をもっと知ってもらえるようなお店を作ってしまえばいいのではないか!?もともとレイナさんの実家が自営業であり、自分もいずれ起業したいと心の奥底に眠っていた願望が、この胡椒との出会いで開花。彼女がシェムリアップでカンポットペッパー専門のお店を開くことを決意した瞬間だった。
 2019年に、カンポットペッパーを直接味わってもらおうとカフェもオープン。西洋人を中心に徐々にお土産を購入してくれる旅行者も増え始めたころ、コロナの波がやってくる。カンボジア国内での販売が思うようにいかず、日本への通販も行うようになった。日本への通販を開始して彼女が感じたことは、“カンポットペッパー”自体が知られていないだけではなく、カンボジア、そしてカンボジアで胡椒が採れるという基本的なことも全く知られていない事だった。そんなまっさらなお客さんに、どんなに無農薬で良質で、さらに社会貢献につながる胡椒だとアピールしても、そもそも場所すらおぼつかないような地域の、さらに地方都市産のものに興味をもってくれるはずもない。どうしたら、良さを知ってもらえるか?試行錯誤の日々は、まだまだ続いている。

 現在は胡椒の使い方を中心に、“胡椒ソムリエ”として美味しさを伝えるプロモーションを行っている。まずは、自分があの胡椒畑で受けた衝撃をたくさんの人に味わってほしい。そして、いずれはこの胡椒の背景や、レイナさん自身が惹かれるカンボジアについて伝えていきたいそうだ。

作り手の幸せで生み出すクオリティー

レイズで販売している胡椒、カンポットペッパーは、カンポットの指定されたエリアで無農薬・オーガニックの昔ながらの指定栽培方法で栽培されている。品質を保持するため、厳格な基準で栽培された胡椒は、香りが高く辛みが少ない。ここでは、日本で生まれ育ったカンボジア人畑マネージャーの、“作り手の幸せがいいものを生む”という理念のもとで胡椒が栽培されている。衣食住を保障した労働環境で、共同生活をしながらカンボジア人の作り手が日々作業している。そうした理念に共感して、レイナさんはこの畑からの胡椒のみを販売しているそうだ。
収穫時期には必ず畑を訪れるレイナさん。働くカンボジア人に交じり、作業を手伝い、一緒にごはんを食べる瞬間が、堪らなく幸せな時間となる。小さな作り手の幸せが、カンボジアが誇る胡椒の未来を作っている。

(左)ダムレイ山脈を背景に広がる胡椒畑。(右)青々とした胡椒の実。この後、丁寧に収穫され加工されていく。

 

おいしい胡椒を届けるために

ヨーロッパではカンポットペッパーはカンボジアの南西部にあるケップ州の指定地域で栽培されている。海風と石英を含む土壌、厳格な栽培基準が良質な胡椒を生み出している。日本ではあまり頻繁に使われない胡椒だが、挽きたての胡椒は意外と和食やスイーツにもよく合う。多くの人に味わってもらい、良さを知ってもらい、そしてカンボジアや現地で働く人のことも知ってもらえたら。そんな想いで澪那さんは日本へと届けている。

 

 

木下 澪那(レイナ) Reina Kinoshita

1997年10月16日生まれ。三重県四日市市出身、2017年に初めて訪れたカンボジアに惹かれ移住を決意。同年、カンボジアに移住。1年の日本語教師を経た後に、2018年7月にカンポットペッパー専門店「RAYS SHOP」をオープン。2019年にはカフェもオープン。カンポットペッパーの魅力を伝え続けている。

Facebook: Rays Mrech Kampot Cafe
日本からの購入はこちら→Facebook: The Premium Kampot Pepper

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