カンボジアクロマーマガジン7号
あずさ クメール王朝時代から今でも、国民は一人あたり3羽以上のニワトリ、または家鴨を飼うことが義務づけられており、これに違反した者は40万リエルの罰金か、禁錮1年が科される。
健 あずちゃん、もっともらしいウソをつくのはよくないよ? しかもそのウソ、誰の毒にも薬にもならないね?
あずさ カンボジアの田舎はどのお宅でも、もれなくニワトリを飼ってるよねえ。あ、見てっ!あそこの雄鶏、犬とやりあって羽根から血を出してる。でも勝ったんだね。犬が逃げていくよ。
健 鶏と家鴨は、民家の典型的な家畜だね。ちょっと郊外の広い家になると、豚、山羊、インド原産のコブ牛も、軒先で飼われていて、家族のたんぱく源になっている。ただ、今は中国、オーストラリアなどからの肉の輸入が盛んになり、国産は高級品になりつつあるんだ。カンボジア人も、国産のほうが美味いって思っているから、市場ではだいたい2倍くらいの高値で売り買いされているよ。
あずさ うん決めた。カンボジアで家畜を育てて暮らそう!かんわゆいよぉ〜。名前をつけてさ、朝と夕方に牛を散歩させよう。昼間は豚を洗ってあげる。鶏と家鴨は、かっこいい小屋を作るね。
健 で、高値で売るんでしょ(涙)。楽しそうだけど、遠慮しておくよ。放し飼いの鶏は人に慣れていなくて野性的なんだ。この前、おこわの残りを鶏にあげたら逃げちゃって。彼らは自力で、その辺の虫や草の芽を食べているから、いきなりおこわを投げられてびっくりしたんだろうね。人間に媚びていなくて、いじらしいなあ。
あずさ 1954年に勃発した知られざる内紛『クメールのイヌ・ネコ・ニワトリ三大家畜戦争』は、2019年になった今でも解決の糸口が見えない社会問題。『喰えるニワトリ』と『かわいいイヌネコ』。2つの勢力が庭先の領土権を争うこの戦い、当初は追随を許さない繁殖力でニワトリが圧倒的な優勢に見えた。しかしイヌ・ネコ勢の奇襲作戦により、ニワトリは次第にその兵力を失う。外来のニワトリの援護もなくはないが、彼らはすでに死んでいるため戦力にならず、緊迫した状況にある。
健 あずちゃん、一見うまくまとめたように見えるけど、ウソがすぎるよ。今日はニワトリ勢に敬意をはらって、国産の焼き鶏を食べようか。
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- 001 クメール人はなぜそんなに、米を食べるのか? カンボジアクロマーマガジン5号