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カンボジアクロマーマガジン7号

エコツーリズムの最先端 コッコン州チーパット

[取材・文・制作] 岡 克哉 [写真] 多賀史文

 

Healing Piphot River Cruise
村の中心を流れるピポット川に癒される

 12kmのトレッキングコースを歩き、体力の限界を迎えかけていたその時、遠くから川の流れる音が聞こえてきた。「トレッキングはここで終わりです。近くの川からボートに乗り村に戻ります。」とガイドが話す。参加者からほっとした笑みがこぼれた。船着き場には、すでに村の住民がボートで待機していた。カルダモン山脈のジャングルを流れるスタング川は静かで、辺りは鳥の鳴き声とボートのエンジン音しか聞こえない。生い茂ったジャングルの中、穏やかな流れの川を下るその時間は、森のひんやりした空気に浸り、疲れた体が一気に癒された。ボートからジャングルに見える野鳥を示しながらガイドは、「ジャングルに生息する希少な鳥やシカ、象を密猟しどこかに売れば、100ドル、200ドルで売れるかもしれない。でもそれらの動物を保護し、自然を守ることでチーパット村に多くの人が訪れ、村が繁栄すれば、1万ドル以上の価値がある。これからも自然を守って行きたい。村まであと、2時間くらいかかるよ」と言葉を残し、救命道具を枕にしてボートの上で寝転がった。マングローブ林を横目にしばらく川を下ると、スラング川からピポット川に入る。川幅も倍以上に広がり、川の流れが少し速くなった。川に罠を仕掛け魚を捕る村人や、川辺で遊ぶ子供を横目に、ボートはゆっくりと船着場へ向かって行った。チーパット地区の川には希少な野鳥も多く生息していて、早朝から野鳥を観察するツアーもある。野鳥の観察は、欧米人旅行者を中心に人気なのだとガイドは話す。ゆったりとした時間とともに、村にボートが到着し、七時間以上かけてカルダモン山脈の自然を感じる山のトレッキングと、ピポット川を下るクルーズ体験のツアーは終了したのだった。 

ピポット川でのカヌーの様子

 

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