カンボジアクロマーマガジン7号
紙本 岩絵の具 910mm × 727mm
私は樹が大好きです。そしてカンボジアには魅せられる樹が沢山あります。気に入った樹に出会うと素敵な人に出会ったような気がして、直ぐに絵筆を取り描きたくなるのは自分だけでしょうか。魅力的な樹を描いていると、その生命力が自分に宿るような気がします。自然の樹がなぜ美しいか、よく自分に自問自答しながら描きます。その一つにはその地形や気候に合わせて倒れないように成長する必要があるために、美しく均衡が保たれなければなりません。隣に樹があればそれを避けて伸びなければならないし、陽が当たる場所も探しながら形を変えます。
描いているだけでいろいろなことが学べるものです。この作品の樹はおそらく2003年の頃、プノンペンからウドンにツクツクでスケッチに行った帰りの時に出会ったと思います。もう夕暮れまでにあまり時間がなかったのでしたが、形の美しい樹の陰で牛達が悠々閑々と過ごしているではありませんか。向こうに見えるのはトンレサップ川。今でも忘れはしないこの世界をなんとかスケッチブックに描いて収めなければと、1時間もかからずに仕上げた事を覚えています。不思議とこのような状況の時は間違えずに手が勝手に動くのです。今でもこの風景があるといいなあ。
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