まだ見ぬカンボジアに出会う小旅行へ―現地発カルチャー&旅行情報誌「クロマーマガジン」

　カンボジア証券取引所は、2011年7月に開設されました。その後2012年4月にプノンペン上水道公社が初めて上場しましたが、2社目の上場がなかなか実現しませんでした。カンボジア政府としては、政府系のシアヌークビル港湾公社と通信公社であるテレコム・カンボジアの上場を目指していますが、手続きが遅れており上場には至っていません。この間、プノンペン上水道公社の株式の取引量も限られ、株価もあまり動かない日が続いてきました。この低迷を脱するためには、民間企業の上場を進めて、株式市場を活性化することが必用との声が高まっています。このような状況の中で、民間企業の中から証券市場への上場を目指す企業が出てきました。

　２社目となる予定の企業は、Grand Twins International (Cambodia) Plc.で、アディダス製品等を製造する台湾系の縫製企業です。同社は、新株を発行、新規株式公開（IPO）の手続きを経て、カンボジア証券取引所に上場するとしています。この記事を皆さんが読まれるときには既にIPO手続きは完了しているかと思いますが、IPOの最初となるロードショー（説明会）が3月にも実施される予定です。その後ブックビルディング入札が開始され、入札締め切り後にIPO価格が決定されます。この価格での購入申込期間は約1週間で、申込み期間終了後に申し込んだ方々への配分が決定・通知されます。申し込みが多い場合には比例配分となります。配分後約１週間でカンボジア証券取引所に上場される予定です。IPO主幹事は台湾系の証券会社であるプノンペン証券です。
　なお、プノンペン証券が主幹事を引き受けている縫製企業TY Fashionが、3社目として証券市場に上場の予定であり、Grand Twins International (Cambodia) Plc.に数か月遅れでIPO等の手続きが同様に実施される見込みです。

　1月22日・23日に、IPO主幹事のプノンペン証券の主催で上記2社の工場見学会が開催されました。カンボジア証券取引委員会（SECC）の正式承認がこの時点ではまだ得られていいないため、財務等の詳細なデータは開示されませんでしたが、工場の概要等が紹介され、工場内を見学しました。
　　Grand Twins International (Cambodia) Plc.社の工場は、プノンペン空港近くの国道4号線から少し入ったところにあります。5000名以上のワーカーが働く巨大縫製工場で、海外の有名ブランドの製品を大量に製造し、全量輸出しています。主なブランドはアディダスで全体の7割以上を占め、スポーツウェアが主要な製品となっています。輸出先はヨーロッパ向けが多く45％、アメリカ向けは40％とのことです。毎月60万着程度を生産しています。工場内は、見渡す限りミシンが並び、女工さんたちが一生懸命に働いています。5年以上勤続している工員さんが35％を占めており、かなり定着率も良いとのことです。

　カンボジアの主要産業の一つである縫製業の民間企業が証券取引所に上場することは、カンボジア経済全体にとっても好ましいことです。民間企業の上場が増えることによって、カンボジアの株式市場の活性化が図られることが期待されます。