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カンボジアクロマーマガジン32号

心がざらつくクメールポップの世界

[取材・文] 小林 真之輔 [制作] 岡 克哉(クロマーマガジン編集部) [イラスト]小泉 寿

クメールポップの遺伝子は、健全ソングも侵食する

クメールポップの中には、各国のポップスをカバーしオリジナルの歌詞をつけて歌われているものもある。その「変換」の中で、何が起こるのだろうか…。

「涙そうそう」→「誠実なままの裏切り者」

原曲:夏川りみ「涙そうそう」

晴れ渡る日も 雨の日も
浮かぶあの笑顔
想い出遠くあせても
さみしくて 恋しくて 君への想い 涙そうそう
会いたくて 会いたくて 君への想い 涙そうそう

カンボジアの日本語学校で教える日本の歌No.1にして、日本語学習者に支持される日本の歌No.1。それがご存知、夏川りみの「涙そうそう」だ。森山良子が、若き日に亡くなった兄を想い作詞。タイトルの意味する「涙がぽろぽろこぼれ落ちる」悲しさを歌いつつも、前向きで爽やかな余韻を湛える歌だ。

 

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クメールver.:Sokun Nisa「誠実なままの裏切り者」

怒りたいだけ怒っていいよ 
あなたが私を どんな女だと言おうと
それに耳を傾ける
だって私は涙を流しながらあなたを裏切った 苦しみながらあなたを裏切った
そしてあなたを惜しみながら裏切った 私は誠実なままの裏切り者だよ

「涙そうそう」のクメール語版カバーが、ソクン・ニサの歌う「誠実なままの裏切り者」。ここでは、愛してくれている彼氏をフッた彼女の心の内が歌われている。苦しい叫びのような、ちょっと開き直りのような…。涙そうそうが淡い水彩画なら、こちらは極彩色の油絵?完膚なきまでにクメールポップテイストになっている。

32-3-3

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