不動産・土地登記
外国人が不動産に関わる場合のリスクは大きい。ゆえに、現地人とトラブルへと発展するパターンも多く、購入前にはシステムをきちんと把握しておきたい。
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外国人による不動産購入・所有にかかる注意点・方法
外国籍所有者は土地購入及び資産所有権がないことが法律上明示されていたが、2010年4月5日、上院議会で法案が承認され、外国人でも居住用不動産を購入できるようなった。ただし、外国人が購入・保有可能な資産は、マンション等の居住用不動産で、日本で言う2階部以上のフロアとなり、1階部分は購入不可となる。また、国境から30km以内の物件は購入できない。
ただし、合法的な手順を踏むことと(証明になり得る)文章を用意することで、土地の売買や投資のための資産運用が外国籍所有者間にも許されてはいる。
a.カンボジア人と共同立上げの会社(合弁会社)による不動産売買
カンボジア人と共同で合弁会社を立上げ、商業省に会社名および、外国籍所有者とカンボジア人パートナーの名前を連名で登録する。この場合、その土地及び資産所有権の49%が外国籍の経営者のものとなり、51%が事業パートナーであるカンボジア人のものになる。
しかし土地も資産所得権利についても、カンボジア市民権を保有する者が承諾書に署名しなければならず、外国籍所有者は公的な弁護士を通じて、その土地の所有権と会社運営の事業承諾書を作成しておく必要がある。
b.不動産、土地資産の長期賃貸
外国籍所有者とカンボジア人が長期賃貸契約を結ぶことにより、その賃貸された土地又は資産運用権を外国籍所有者へと還元することができる。政府から借り受ける場合最長99年間可能だが、民間では交渉次第となり一般的には10~30年程度となるケースが多い。
長期賃貸契約が結ばれた場合、土地登記とその土地の賃貸借契約書のコピーを「土地管理・都市計画・建設管理局(the office of the Department of Provincial Land Management, Urban Planning and Construction)」に登録し、地方行政と中央政府機関にも同様に提出する。特に土地登記書のコピーと賃貸借契約書は土地台帳管理局(the Cadastral Land Registry Office)に必ず保管させる必要がある。
c.カンボジア人と共同の土地及び資産登録、信頼のおけるカンボジア人名義で購入
信頼のおけるカンボジア人名義で不動産を代理購入してもらい、登記終了後、外国籍所有者は不動産登記の原本を自分で保管しておく。土地の売却には、土地登記の原本なしでは不可能であるため、カンボジア人が未承諾のままその土地資産を売却することが出来なくなる。
不動産登記のコピー、及びカンボジア人による外国人への委譲権利が含まれた賃貸契約は、不動産登記を提出するための適切な地方自治体と中央政府に申請するのと同様に、カンボジア「地方土地管理・都市計画・建設管理局」に登録し、不動産登記と賃貸契約書のコピーは、土地台帳管理局に保管させなければならない。
このケースでは、名義を借りたカンボジア人には月払い、もしくは年払いで謝礼を支払うことが多い。またその不動産を転売した場合に数%の謝礼を支払うことが多いが、これらの事も含め、購入時に明確に書面化し、第三者もまじえて契約しておいた方が後々のトラブルを防ぐことになる。
d.カンボジア人と婚姻し、その名義で購入
カンボジア人と婚姻関係にある外国籍購入者は、カンボジア人伴侶の名義で不動産登記の登録が行なえるが、事実上、不動産の権利は全てカンボジア人名義となるため、離婚した場合は、全ての権利はカンボジア人伴侶の物となる。ただし、裁判所の決定や離婚調停内容により、一部、金銭として分配されることもある。
e.無償支援寄付によるカンボジア人市民権の取得
カンボジア市民権取得を希望する外国人がカンボジア国民のために活用されることを目的とした無償支援寄付金(上限額49,500US$)をカンボジア王国政府へ提供した場合、その申請した外国人にカンボジア人市民権取得が承認されることがある。カンボジア王立政府は無償によるカンボジア人市民権の譲渡を認めている。これらはカンボジア「土地管理・都市計画・建設」省とカンボジア王立政府により承認される。過去数十名の外国人が承認されているが、年々厳しくなってきており、業者に手付金もしくはほぼ全額を取られて失敗するケースが多いのでお薦めしない。
-外国籍所有者が死亡した場合、賃貸の土地や資産を他の名義による個人または団体組織にその購入権を遺言で残すことができる。これらを考えて購入時期と賃貸契約書を作成すること。もし遺譲にかかる書類に加筆が必要な時は、その該当規約書に加筆するべき。賃貸契約時も、購入者である外国籍所有者が死亡した場合は、その満期の資産運用を指定することができる。
-名義借りで購入時は、外国籍所有者が土地もしくは資産をいつでも売却できるように、代理人であるカンボジア人による了承サインまたは拇印は、どんな売却手段でも事前に書面にて明記し、準備しておくこと。
-不動産登記に名前を載せたカンボジア人市民は、カンボジアの居住者である必要性はなく、カンボジア国外居住のカンボジア人市民によるものでも登録は可能。ただし、そのカンボジア人市民がカンボジア国籍であることを証明させる必要がある。
不動産、資産購入時の支払い方法
購入する不動産が決まった場合、まずは前金を支払い、その後購入額の50%程度入金することにより売り手は土地名義の変更を始める。その後土地や資産購入にかかる全額の支払いが完了した時点で、名義書は買い手へ委譲される。この支払いに関する所要時間は、一般的に了承されていることと土地売買契約書に書かれている内容に基づくが、原本となる登記書により、地方土地管理・都市計画・建設管理局および、土地台帳管理局の処理速度が大幅に変わることがあり、早くて2週間、長い時は登記処理に3カ月以上かかることがある。その土地売買契約書に明記されている支払方法についての例を下記より紹介していく。
①買い手は前金として、売り手である土地所有者の売値5~10%を支払い次回の支払い期限(通常1~2カ月以内)を決める。その期限内は別の買い手に売ることはできなくなる。もしも事前連絡及び、承認無く売った場合は前金の3倍返しが一般的である。
また、買い手の都合でキャンセル、または支払いが遅延した場合、この前金に返却義務はなく違約金として売り手に渡る。
② ①で決めた期限内に、買い手が売値の40%分を支払う。この時点で売り手が新しく土地名義変更を始める。名義変更にかかる期間は、その土地の状態により異なるが最短2週間~3カ月と幅がある。その土地名義変更は、売り手である土地所有者が責任を持って行う必要がある。(この段階で、買い手の弁護士または法定代理人が、登記名義が正確か否かなど、購入予定の土地に関する詳細を調べることもある)
③土地名義変更手続き終了の連絡が売り手から入ると、買い手は残りの支払額である購入価格の50%分を支払う。売り手から土地の権利書を受け取った段階で、土地名義は買主に委譲され、新しい所有者と位置付けられる。
契約関係書類等の作成、手続き上の保護・防衛対策
不動産物件の購入または賃借手続きには、関係者名が明記された書類が必要となる。購入もしくは賃借者と不動産物件所有者間の譲渡、賃貸問題をスムーズに解決するため、第三者の承認が必要。特にお薦めする保証人として、不動産会社、弁護士、地方土地管理・都市計画・建設管理局員、土地管理・都市計画・建設省員、村長、自治体長、地方行政局長などが望ましい。
承諾書
不動産会社を通じて、賃貸、売買取引を行なう場合、承諾書への署名が必要となる。承諾書には、顧客が、不動産会社に内緒で紹介した不動産所有者と売買契約の締結を進めてしまうことを防ぐ、契約違反に対する効力が含まれる。
土地の登記方法
土地登記を行う場合、領収書と証明書を登録する必要がある。領収書とは一般に、土地または資産登記の登録の際に使われていたもので、現地当局または自治体長より発行される。それが税金対策や諸サービス費用を免除する役割を持つことがある。 証明書は土地管理・都市開発・建設省に管轄される土地台帳管理局内部署にて発行され、不動産登記を登録する際に必要とされる。
申請費用
不動産会社への手数料は、一般的に購入価格の3%となり、土地所有者より不動産会社へ直接支払われる。支払いは売買完了時に適用となる。