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カンボジアクロマーマガジン5号

クメールの手仕事

[取材・文] 多賀 史文/佐藤 悠衣  [写真] 多賀 史文/佐藤 悠衣   [制作] 多賀

今でも農村に息づく、農耕民族の美しき日用品

 国内最高峰のアオラル山とトンレサップ川に挟まれ、穏やかな田園風景広がるコンポンチュナン州。ここは陶器の産地として良く知られているが、竹細工もまたこの地の名産品である。牛車や耕運機に山積みにされた竹細工を売り歩く行商を全土で見かけるが、その多くがこの地からやってくる。
 どこの村でも竹取は男仕事で、細工は女仕事。それぞれ農作業の合間にのんびりと行われている。このような竹細工村は州内に点在するが、村によって生産する品が異なっており、日用雑貨、農具、漁労具などが作られている。中でも籠や笊は編み方によって、形状や大きさなど様々なバリエーションがあるが、特にワットダムナックカイ村で作られる籠が美しい。
 大小の竹ひごを緻密に組み上げ、着色した帯を用いて口を垂直に立ち上げた形状は、機能的にもデザイン的にも秀逸だ。この籠は全土の農村家庭に普及しており、米や豆の運搬や短期保管に用いられている。

 


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