カンボジアクロマーマガジン5号
クメールの手仕事
いつからと聞かれても、いつからかはわからない。
でも、母さんが子供だった時も、祖母さんが子供だった時も、
そのまた昔からも、ずっとこの地で作り続けてるモノ。
大地から紡ぎ染められた、カンボジア女性の晴れ着
1世紀にインドシナ半島最初の王朝として興った扶南国。その王都バーヴァプラが遷都されたタケオ州は、カンボジア南部にある水に恵まれた一大農業地帯で、古くから絹の産地として知られている。この地域の絹織物の生産は、各家庭の高床式住居の地上部分で行われており、村を訪れると木製織り機の優しい音色があちらこちらから聞こえてくる。
同国で養蚕されているカイコは原種に近く、黄金色の繭玉を形成し、この糸で織られた絹布は、素朴で温かみのある色味と肌触りのある布となる。カンボジア人はこの糸を用いて様々な絹製品を生産するが、中でも最も多く作られているのが、女性の礼服である巻きスカートに用いられる「絣」である。括った絹糸を草木やカイガラムシなどの自然染料を用いて多色染し、数か月に渡って丁寧に織り上げられた幾何学模様の布は、同国における最も芸術性の高い手工芸品といえよう。
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