カンボジアクロマーマガジン2号
人が物を作る姿。その一糸乱れることのない集中力は、私にいつも静かな部屋で写経を綴る人間の背中を想像させる。
スヴァイリエン州の小さな村の中、そこにはコツコツと籠を編む人たちがいる。村人のほとんどは農業をしながら農閑期に籠を製作している。
そんな中、先天性の病気で幼い頃から片足が不自由だというバナックさん(写真中心)。紆余曲折を経て今は毎日約8時間、せっせと籠を編む日々だそう。ヤシの葉の可愛らしいアトリエは、ミシンも備え様々な種類の籠が作れるように整えられている。安定までには程遠いが今はこれで暮らしを立てているという。
手仕事には、出来上がる作品とその世界観、二つの美しさが混在していると思う。hotoriを始める当初、籠で御殿が建つならば手仕事は自ずと継承されていくのにと思っていた。生業と技術、収入と伝統はとても密に関係している。二つの美を継承するには、今需要を「作る」必要があるのだ。
彼の編む籠は整然と目が揃い、開けると干し草のいい香りがした。アトリエの庭でポツポツと語る落ち着いたその眼差しには、繰り返しの作業が現れていた。
Shine the light and make a way
At a small village in Svay Rieng Province, the farmer makes the baskets during the off season, but Mr. Vanack (centre of photo) makes the basket every day, because he has been physically challenged by his leg from when he was young. His baskets are a marvel of order and neatness, and when opened smell of fragrant hay.
水草で編まれた黄金色の蓋つき籠。hotori memento(ホトリ・メメント)の取り扱い店舗やオンラインストアで購入可能。
A basket with a golden lid made from aquatic plants. It is possible to purchase it at a store or at the online store of hotori memento.
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