カンボジアクロマーマガジン1号
04年、その物語は始まった。LO―YUYUという名で若干2名からスタートした小さな工房は、今や大きなガス窯を3台備え、光の差し込む広々とした工房で40名以上の職人が働く立派な窯元になった。立ち上げから14年の時を経て、現在は数々の有名ホテルやレストランの漆器類を作っている。
ゆっくり、手作り、不揃い。そんな言葉で誤魔化すことは決してせず、職人たちはミリ単位にまで意識を配る。機械による画一的な製品でもアーティストによる芸術品でもなく、人の手にしか生み出せない緻密な工芸品だ。
「毎朝7時半に来て夕方まで丸一日、この足蹴りロクロを回している。けど未だに仕事に飽きることはないよ。手早く正確に作るこの工程が俺は好きなんだ。」と、古株のサムナン(仮名)さん。とくとくと静かな時間が流れる充足感に満ちた工房で、生活とプライドをかけた責任あるプロの背中を見せてくれた。
外ではノッポの椰子が頭を揺らし、のんびりと牛が草を喰んでいる。穏やかな田園風景の中、何だか久しぶりに背筋が伸びる。これもまた、カンボジアの手仕事に纏わる美しい一コマである。
(写真上)丸い取手が印象的な可愛いマグカップ、ミルクピッチャーやシンプルな角皿は、hotori memento(ホトリ・メメント)の各取り扱い店舗で購入することができる。
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- -その道の先- カンボジアクロマーマガジン3号
- -光を当て、道を作る。- カンボジアクロマーマガジン2号
- -ノッポの椰子の木の下で。- カンボジアクロマーマガジン1号