ホーム 過去のマガジン記事 プノンペンの風景: 第19回:体育教育の重要性

カンボジアクロマーマガジン28号

 

10年間熱狂的なプロレスファンだった息子が、ここのところサッカーに夢中になっている。始めはテレビ観戦だったのが、フットサルチームに入る事になり、 ルールや技を覚えてレフリーのものまねも板についてきた。ネットで調べると、プノンペンでもほぼ毎週土日にオリンピックスタジアムやオールドスタジアムで 試合をやっている事を見つけ、遅まきながら初の観戦に行った。入場料2000リエル(約0.5ドル)。

内務省の警察チーム対某私企業の試合。そこで、びっくり、警察チーム、ちゃんとルールを守ってるではないか。最近富に警官に止められる事が多くなっている 私だが、規則なんだかいちゃもんなんだか、長々したやり取りの後味が非常に悪い人たちなのだ。当たり前の事なのだけれど、このおまわりさんチーム、ちゃん とルールに従っているではないか。やればできるじゃん。仕事では、理由なく弱者から金をとる理不尽さを忘れてしまうのか、それが仕事だと教育されてしまっ ているのか…。中年の警官はスポーツなんかしたことがないのかもしれない。

考えて見れば、私たち日本人は小さい頃から体育を通してルールを守る事を教えられているように思う。どんなスポーツにもルールがあって、ルールを守った上 での勝利は本物で気持ちがよいものだ。体育は健康な体を作るためだけではなく、ルールとは何か、ルールを守ることの大切さを教えてくれる。同じようにルー ルを守る相手を尊重するようになる。改めて体育教育の重要性を感じた一日だった。

ところで、この試合、某私企業の応援団は観戦に次いで面白かった。トラックの荷台に満載された子供たちが持ち込んだ音色のよい太鼓。ペンキの空バケツを ひっくり返し、プラスチックの水道管がバチ。お金をかけずある物で工夫する知恵は、物があふれる今の日本では生まれ難く、とっても微笑ましい。


いしもと ゆみ

89年に一度カンボジアへ渡航。92年に日本のNGO職員としてプノンペンに赴任以来、援助関連業務に携わるが、04年から企業に勤める。プノンペン生まれの一女一男の母。

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